2021年12月20日月曜日
判例裁決紹介(令和3年3月4日裁決、推計課税と処分理由の説明)
2021年12月11日土曜日
判例裁決紹介(令和2年3月3日、非営利型法人における資金貸付の収益事業該当性)
2021年12月4日土曜日
判例裁決紹介(函館地判令和元年5月15日、貸付債権の評価)
貸付金債権の評価)
204 貸付金、売掛金、未収入金、預貯金以外の預け金、仮払金、その他これらに類するもの(以下「貸付金債権等」という。)の価額は、次に掲げる元本の価額と利息の価額との合計額によって評価する。
(1) 貸付金債権等の元本の価額は、その返済されるべき金額
(2) 貸付金債権等に係る利息(208≪未収法定果実の評価≫に定める貸付金等の利子を除く。)の価額は、課税時期現在の既経過利息として支払を受けるべき金額
(貸付金債権等の元本価額の範囲)
205 前項の定めにより貸付金債権等の評価を行う場合において、その債権金額の全部又は一部が、課税時期において次に掲げる金額に該当するときその他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない。(平12課評2-4外・平28課評2-10外改正)
2021年11月27日土曜日
判例裁決紹介(東京高判令和3年9月8日、成年後見人と同一生計、小規模宅地等の特例の適用範囲)
これに対し、相続人が被相続人の有する宅地等で事業を営んではいるものの、これによって被相続人の生計が支えられていない場合には、相続人の営む事業は被相続人の生計とは関係がないといえるから、被相続人が、生前、相続人「の事業の用(中略)に供されていた宅地等」を処分することには制限がなく、当該宅地等に担税力の減少は生じていないことになる。したがって、このような場合は、相続人が相続した財産における担税力の有無に着目して、相続税の課税価格に算入すべき価額を軽減することにより、相続人の相続税負担の軽減を図るという本件特例の趣旨は妥当しないから、本件特例を適用することはできない(なお、前記のとおり、本件特例の適用により、その結果として中小企業の円滑な事業承継という政策目的が促進されるという効果が期待されるものの、それは副次的な効果にとどまり、本件特例の趣旨はあくまでも担税力の減少に対する配慮にあるから、円滑な事業承継の実現自体が独立して本件特例の趣旨に当たると解することはできない。)。」
2021年11月17日水曜日
判例裁決紹介【東京地判令和2年11月12日、相続直前の借り入れ等と財産評価基本通達総則6項の適用】
2021年11月6日土曜日
判例裁決紹介(横浜地判令和2年2月26日、カイロプラクティック事業と事業税の業種判断)
2021年11月1日月曜日
判例裁決紹介(令和2年12月15日裁決、みなし役員の認定、役員退職金の否定)
2021年10月25日月曜日
判例裁決紹介(令和元年6月18日、財産分与と無償等の資産譲渡に伴う第二次納税義務の成立)
2021年10月11日月曜日
判例裁決紹介(名古屋地判令和元年5月16日、外国籍者に対する給与支払いの事実)
2021年10月2日土曜日
判例裁決紹介(大阪地判令和2年9月14日、虚偽の住所移転と所得秘匿)
2021年10月1日金曜日
判例裁決紹介(東京地判令和2年1月30日、概算経費控除の対象)
2021年9月13日月曜日
判例裁決紹介(横浜地判令和2年6月11日、相続税の申告における税理士の損害賠償責任、賠償金額の限定の否定)
2021年9月4日土曜日
判例裁決紹介(令和3年4月13日裁決、勝馬投票券による所得の所得区分)
う知的労働に基づく馬券購入という役務行
為に密接・関連して給付がなされたことに
より発生するものであり、また、馬券の発
売総額の15%相当額から賞金、JRAの
運営費、人件費等を差し引いた額の半分が
JRAの所得となることから、払戻金は、
着順予想の的中者に対するJRAの運営に
協力したことの見返りであるため、対価と
しての性質を有する。」
判例裁決紹介(東京高判令和2年9月10日、税理士による簡易課税制度の選択届の有効性)
2021年8月24日火曜日
判例裁決紹介(名古屋地判令和2年6月18日、売上除外に対するほだつの意図)
判例裁決紹介(東京地判令和2年9月15日、収益帰属、地域対策費の必要経費該当性)
2021年7月31日土曜日
判例裁決紹介(令和元年5月7日裁決、法人税法における非営利型法人の要件)
資産の交付で、社会通念上不相当なものをいう」
2021年7月27日火曜日
判例裁決紹介(平成31年2月8日裁決、非嫡出子に関する相続開始のあったことを知った日)
2021年7月10日土曜日
判例裁決紹介(最判令和3年6月24日、相続税における更正の請求督促と財産評価の誤りの修正)
2021年6月29日火曜日
判例裁決紹介(令和元年6月20日裁決、盗難経費の必要経費該当性と立証)
業所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に
要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他事業所得を生
ずべき業務について生じた費用の額であるところ、課税標準である各種所得
の証明責任は原則として課税庁の側にあると解すべきであり、事業所得の金
額が総収入金額から必要経費を控除する方法により算出されることに照らせ
ば、収入金額についてはもちろん、原則として必要経費についても誤税庁側
に証明責任があると解される。
しかしながら、申告納税制度の下における納税者は、税法の定めるところ
に従った正しい申告をする義務を負うとともに、税務調査に際しては、その
所得金額認定の基となる取引の実態を最もよく知るものとして、資料を提示
し説明する義務を負っていると解すべきであること、所得税法が、事業所得
を生ずる納税者に記帳義務や帳簿・証ひょう書類等の保存義務を課している
こと、必要経費が納税者にとって有利な事実であり、その証ひょう書類を取
得して保存し、帳簿に計上することが極めて容易であることからすれば、上
記の各義務を負担する納税者が、税務署長が合理的と認められる方法により
把握した必要経費以外の必要経費が帳簿外に存在すると主張する場合には、
当該納税者においてその存在及び価額を具体的に立証する必要があると解す
2021年6月22日火曜日
判例裁決紹介(平成31年4月19日裁決、条件未達成の権利の相続財産該当性)
れると解される。
もっとも、相続税法上の「財産」とは、これを課税価格に算入する必要上、金銭的に評価することが可能なものでなければならず、そうすると、相
続税の課税財産は、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものをいい、既に存在する物権や債権のほか、いまだ明確な権利とはいえない
財産法上の法的地位なども含まれると解するのが相当であり、これには、相続開始時において期限未到来の始期付権利や、条件未成就の停止条件付権利
も含まれると解される。」
2021年6月14日月曜日
判例裁決紹介(令和2年3月10日、修繕費の前倒し計上と仮装)
2021年6月2日水曜日
判例裁決紹介(東京地判令和2年3月26日、法人代取の個人的費消と交際費否認)
2021年5月26日水曜日
判例裁決紹介平成31年1月11日裁決(相続財産としての同族会社への貸付金の評価)
(貸付金債権の評価)
204 貸付金、売掛金、未収入金、預貯金以外の預け金、仮払金、その他これらに類するもの(以下「貸付金債権等」という。)の価額は、次に掲げる元本の価額と利息の価額との合計額によって評価する。
(1) 貸付金債権等の元本の価額は、その返済されるべき金額
(2) 貸付金債権等に係る利息(208≪未収法定果実の評価≫に定める貸付金等の利子を除く。)の価額は、課税時期現在の既経過利息として支払を受けるべき金額
(貸付金債権等の元本価額の範囲)
205 前項の定めにより貸付金債権等の評価を行う場合において、その債権金額の全部又は一部が、課税時期において次に掲げる金額に該当するときその他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない。(平12課評2-4外・平28課評2-10外改正)
(1) 債務者について次に掲げる事実が発生している場合におけるその債務者に対して有する貸付金債権等の金額(その金額のうち、質権及び抵当権によって担保されている部分の金額を除く。)
イ 手形交換所(これに準ずる機関を含む。)において取引停止処分を受けたとき
ロ 会社更生法(平成14年法律第154号)の規定による更生手続開始の決定があったとき
ハ 民事再生法(平成11年法律第225号)の規定による再生手続開始の決定があったとき
ニ 会社法の規定による特別清算開始の命令があったとき
ホ 破産法(平成16年法律第75号)の規定による破産手続開始の決定があったとき
ヘ 業況不振のため又はその営む事業について重大な損失を受けたため、その事業を廃止し又は6か月以上休業しているとき
(2) 更生計画認可の決定、再生計画認可の決定、特別清算に係る協定の認可の決定又は法律の定める整理手続によらないいわゆる債権者集会の協議により、債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等の決定があった場合において、これらの決定のあった日現在におけるその債務者に対して有する債権のうち、その決定により切り捨てられる部分の債権の金額及び次に掲げる金額
イ 弁済までの据置期間が決定後5年を超える場合におけるその債権の金額
ロ 年賦償還等の決定により割賦弁済されることとなった債権の金額のうち、課税時期後5年を経過した日後に弁済されることとなる部分の金額
(3) 当事者間の契約により債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等が行われた場合において、それが金融機関のあっせんに基づくものであるなど真正に成立したものと認めるものであるときにおけるその債権の金額のうち(2)に掲げる金額に準ずる金額
2021年5月18日火曜日
判例裁決紹介(大阪地判令和2年6月25日、法人資金で費消した法人役員への給与認定)
2021年5月10日月曜日
判例裁決紹介(宇都宮地判令和元年7月3日、給与支払の実態の欠如と源泉徴収税還付申告)
令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。な
お、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何ら
かの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務
の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかか(マ
マ)重視されなければならない。」(最高裁昭和56年4月24日第二
小法廷判決・民集35巻3号672頁)
該給与支給者との関係で、空間的・時間的な拘束を生じさせる雇用又はこ
れに類する何らかの原因関係が存在していること(要件①)、②かかる雇
用契約等に基づき継続的ないし断続的に労務又は役務の提供がされている
こと(要件②)、そして③かかる労務又は役務提供の対価として上記給与
支給者から一定の給付がされた事実があること(要件③)を要件として満
たす必要があると解されるから、被告は、これらの要件事実のいずれかが
不存在であることを主張・立証する必要があるものと解され、かつ、それ
で足りるものというべきである」
2021年5月7日金曜日
判例裁決紹介(新潟地判令和2年3月26日、リゾートマンションの固定資産税評価額と実態の乖離)
2021年4月19日月曜日
判例裁決紹介(令和元年5月30日裁決、定期同額給与の該当性、日当の最低支給額)
2021年4月14日水曜日
判例裁決紹介(福岡高判令和元年11月6日、架空仕入と立証責任)
存否に係る主張立証責任は、被控訴人が負うものと解すべきである。被控
訴人は、本件現金仕入れが全て架空であることを具体的に主張立証しなけ
ればならない。
しかし、被控訴人が本件現金仕入れに係る取引の不自然性、不合理性を
具体的に主張立証するのは、本件現金仕入れのうち約18.99%の取引
にとどまり、その余の約81.01%については、具体的な主張立証をし
ていない(原審における控訴人らの原告第1準備書面及び被控訴人の第3
準備書面等参照)。そうすると、この約81.01%の取引については、
いわゆる事実上の推定が適用される前提を欠くものといえる。
被控訴人は、本件物品出納帳の記載の全体としての信用性について、こ
れが低いものである旨縷々主張する。しかし、この主張は、控訴人らがし
た反証の証明力が低いということをいうにとどまるものであって、被控訴
人側の具体的な主張立証に替わるものではない。そして、本件現金仕入れ
のうちその不自然性、不合理性について具体的な指摘をしない約81.
01%の取引については、その取引のために支払われた控訴人らからの出
金やその取引に基づく売上げについても具体的に争っていない。」
2021年4月7日水曜日
判例裁決紹介(令和元年6月27日裁決、山林の貸付所得の人格なき社団への帰属)
2021年3月29日月曜日
判例裁決紹介(平成31年4月5日裁決、歯科技工における消費税の簡易区分)
該当する各業種自体の内容を明らかにした定義規定は存在しておらず、「製造業」と「サービス業」の意味内容ないし用語例についても、必ずし
も一義的に解釈可能なほど明確な概念とまではいえないことから、「製造業」と「サービス業」のいずれに該当するかを判断するに当たっては、簡
易課税制度における税負担の公平性等を考慮した上で解釈するのが相当である。
計調査の結果を産業別に表示する場合の統計基準として、事業所において
社会的な分業として行われる財及びサービスの生産又は提供に係る全ての
経済活動を分類するものであり、統計の正確性と客観性を保持し、統計の
相互比較性と利用の向上を図ることを目的として設定されたものであるか
ら、課税政策に基づいて設定された消費税法上の事業区分とは目的を異に
するものではあるが、消費税法施行令第57条第5項第3号及び第4号に
掲げる業種(なお、「製造業」は同項第3号ヘに、「サービス業」は同項
第4号ハに掲げられている。)は日本標準産業分類の大分類に列挙されて
いる産業と一致している上、日本標準産業分類における分類は、社会通念
に基づく客観的なものであり普遍性を有しているといえるから、簡易課税
制度を公平に適用するためには、この産業分類が有用であるといえ、ある
事業が「製造業」又は「サービス業」のいずれに該当するかを判断するに
当たり、普遍性を有する合理的な基準として日本標準産業分類を用いるこ
とは相当であるといえる。
この場合において、サービス業等とは、日本標準産業分類の大分類に掲げる次の産業をいうものとし、また、不動産業とは、日本標準産業分類の大分類に掲げる「不動産業、物品賃貸業」のうち、不動産業に該当するものをいう。
2021年3月9日火曜日
判例裁決紹介(大阪高判令和2年10月16日、複数の公営ギャンブルによる所得区分、営利性)
になるわけではない。それが営利を目的とする継続的行為と評価されるためには、一連の行為の態様その他の状況等を総合考慮して、偶然性の要素が減殺され、客観的にみて利益が上がると期待し得る行為と認めることができなければならない」
2021年2月22日月曜日
判例裁決紹介(東京地判令和2年1月30日、役員給与の不相当に高額、抽出最高額の利用)
2021年2月13日土曜日
判例裁決紹介(東京高判令和2年8月26日、消費税の調査拒否と保存)
2021年2月9日火曜日
判例裁決紹介(平成30年6月1日、印紙税における課税文書該当性、契約書内容と実態の乖離)
さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は平成30年6月1日裁決で、印紙税における課税文書としての該当性が契約書内容と実態の相違により争いになった事例です。
具体的には、本件は宗教法人たる請求人が不動産賃貸による駐車場施設の貸付を、設備を置く、事業形態において実施している(消費税法においても駐車場施設の貸付として処理されている)状況下において、提携事業者と作成された契約書に関して、課税文書に該当するのか否か(裁決例ではなぜか具体的な課税文書が何であるのかが黒塗りにされている)が課題となっているものである。契約書に記載された文言は、駐車場用地の貸付であり(設備の設置の許可も含む)、上記のように事業の実態は駐車場施設の貸付となっているような状況であり、契約書の文言、内容と事業実態が乖離している、齟齬があるような状況が本件の起点となっているものであり、これにより如何なるものを基礎に課税文書としての該当性を判断するのかという点が中心的な争点となっているものである。
印紙税は実務において、税理士の関与外でもあろうが、非常に形式的な判断が行われるものであり、課徴金も3倍とシンプルな構成となっている制度であるがゆえに、その紛争事例が表に出ることは稀であるが、本件は、その珍しいものであり、基本となる課税文書としての該当性を判断する上で、如何なる点を基準に置くべきであるのかという点が争点となっているものであり、重要であり、珍しいものであって実務においても参考となろう。
そもそも印紙税そのものが、文書を対象としているものであり、取引税として、消費税が登場している、あるいは電子化が進んでいる状況においてはもう時代遅れとなっているとの指摘もあるが(電子化において、すすめる誘引になると思うのだが)、未だに税収はほとんど変化がない(預金通帳などの存在があるからであろうが、これも現在は減ってきているだろう)。消費税よりもより純粋な取引に対する租税として、デジタル文書であっても課税対象として捉えるようなスタンプ税としての印紙税よりもより拡大した形で再構築されるべきであると考えているのではあるが(時代遅れと言われるかもしれないが)、取引税としての消費税を補完する上でフェアな租税制度の構築という視点からはその役割が期待されるものであると捉えているのであるが、近年では税制改正大綱でもあまり取り上げられる事がなくなりつつあり、地味ながら重要な税制として考えられる。
第3条 文書が課税文書に該当するかどうかは、文書の全体を一つとして判断するのみでなく、その文書に記載されている個々の内容についても判断するものとし、また、単に文書の名称又は呼称及び形式的な記載文言によることなく、その記載文言の実質的な意義に基づいて判断するものとする。
2 前項における記載文言の実質的な意義の判断は、その文書に記載又は表示されている文言、符号を基として、その文言、符号等を用いることについての関係法律の規定、当事者間における了解、基本契約又は慣習等を加味し、総合的に行うものとする。
以上のように本件は、契約書に書かれた内容(内容そのもの自体が争われているわけではない)と実際に行われている事業実態が乖離していることを起点としている。上記のように印紙税の基本通達は、その第3条において、文言の実質的意義(多くはこれがいかなるものであるのかという部分が争点となることが多いのであるが)による課税文書としての判断を解釈としている。印紙税そのものが形式的な部分を重視した、文書をその対処とするものであり、一方でフェアな課税を維持する上では上記のような、必ずしも文書の文言に依拠した判断に限定したものではないという枠組みは正当なものとして理解されている。
しかしながら、本件は、文書の記載内容ではなく、事業実態が文書記載と異なる点で、状況を異にする。
「印紙税は、特定の契約や権利等それ自体を課税対象とするものではなく、
これらの事項を証明する目的で作成された文書を課税文書とするものである
から、課税文書に該当するかどうかは、その文書に表されている事項に基づ
いて判断するべきであり、その文書に表されていない事項は、原則として判
断の要素に取り入れるべきではなく、また、当事者の約束により文書の名称
や文言は種々の意味に用いられる可能性があることからすれば、単に文書の
名称又は呼称及び形式的な記載文言によることなく、その記載文言の実質的
な意義に基づいて判断するべきものと解される。」
裁決はこの点につき、上記のように判断をください、文書文言に原則的な判断を依拠するべきであり、一定の例外的なものとして、文言の実質的な意義を追求するものと解して通達の立場から(裁決である以上当然でもあるが)、納税者が主張するように、契約による実質的な事業実態も考慮すべきとした納税者の主張を排している。
上記の通達や裁決の判断は、契約書などの文書の判断を形式的な判断に加え、文書慣習等を総合的に判断するとしているが、これは確かに文書内容に必ずしも限定されているものではなく、実質的な実態も考慮対象となりうると言う主張が合理性を有するのかという点で本件は課題となっているものである。本件は契約の、文言記載事項が、事業実態と乖離する、契約によって実際に行われている事業活動が異なることとなっており、課税文書を基礎とする印紙税と消費税申告における取り扱いに差異が生じる結果となっている(消費税法上の取り扱いの妥当性については争われていないが、一定の客観性をもって実態が合致していることは否定し難いのであろう)。このような状況は予測可能性の確保を法の基本目的とする租税法規の取り扱いとして妥当であるのかという点が問題の中核と考えられる。
そもそも契約内容と実態が乖離すること自体が発生することに違和感を覚えるところでもあろうが(我が国の法文書、契約に対する意識が現れているともいえようが)、現実的には、このような状況の発生も大いに存在しうるものであろう(長期に渡る契約期間においては実態が乖離することも想定されよう、ここで、単に契約内容と異なることがそもそもおかしいというのは現実を本当に捉え考えていないのだろう)。
私見としても、課税物件が課税文書に限定されている、文書に焦点を当てた制度構成となっていることからも、その文書内容に関して総合的に判断して、列挙された文書としての該当性に検討を行うことと、文書以外の状況を反映させることは問題の性質が異なるものと捉える。文書の内容を超えて判断をすることは不確実な要因を考慮に入れることであり、法的な安定を書くことに繋がりかねない。印紙税がその基本的な趣旨として、文書の背景にある行為や契約自体そのものに租税を負担する能力を見出しているという点に立ち返れば(文書自体はそれを表章するものに過ぎないと考える立場からは)、契約の実態を反映させることは、趣旨に合致したものと捉えるべきという意見もあり得ようが、本来ならば実態との乖離すること自体が回避されるべきであり、いたずらに契約の文言を超えた判断は租税法律関係を不安定とするものであり、回避されるべき判断の枠組みであるだろう。
以上です。毎回のごとく、備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。