2023年4月15日土曜日
判例裁決紹介(東京地判令和3年7月16日、原資否認による報酬対象の源泉徴収還付)
さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、東京地判令和3年7月16日で、査察案件ですが、報酬として支払った金額の原資となる売上が否認された事による、報酬支払も取り消されるとのことで、納付した源泉徴収金額(約2000万)を過誤納金として還付加算金として返却することを求めた事案です。
具体的には本件は建設業を営む原告たる法人がその代表者(役員)に対して支給した給与等に対して源泉徴収を行なって納付していたところ、査察調査により、関連法人において、外注費が架空計上であるとして否認され、もって原告法人の売上が否認されたことになるため、これを原資として支給している給与等は存在せず、しかるに源泉徴収は過誤納金であって、その返還と還付加算金を請求している事案である。
第五章 国税の還付及び還付加算金
(還付)
第五十六条 国税局長、税務署長又は税関長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下「還付金等」という。)があるときは、遅滞なく、金銭で還付しなければならない。
2 国税局長は、必要があると認めるときは、その管轄区域内の地域を所轄する税務署長からその還付すべき還付金等について還付の引継ぎを受けることができる
査察案件で、架空経費の計上などを起点としている事案であるので、一般性に欠けるものであろうが、そもそも過誤納金をどのように捉えられるべきか、理解されるべきものであるのかという点も課題であり、税務の中心的なフィールドでは中小企業において、意図的非意図的は問わず法律行為を変化することは比較的容易であろう。税務に対する理解等の関係で錯誤の議論が盛り上がったことがあったが、近年はその錯誤に対する租税法務の考え方も変化しつつあるように感じるところでもあり、本件のような事案では当然、報酬の支払という法律行為の成立を基礎としているものであって、判示でも有効に成立している報酬の支払いを覆すことはできないとしている。租税法規の立場から、一旦成立した課税関係の修正を伴うようなものは安易に認めることは慎むべきものであろうが、実務的には異なる反応もあり得よう。
租税としては報酬の支払という法律行為を基礎としているものであって、基本的な判断であることに代わりはないものであろうが、経済的な観点から原資を失っている要な場合も主張に組みするような意見もあり得よう。かかる場合、行為のコントロール性が高い構造において、行為の取消も含め包括的に検討すべき点があるように思う。
以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。
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