2023年4月15日土曜日
判例裁決紹介8令和2年11月17日裁決、使途不明の出勤と相続税)
さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今週は、令和2年11月17日裁決で、相続人が被相続人口座から約3億の現金を出金し、使途不明であって、みなし贈与であるとして贈与税の対象となる者であるのか否かが争点となった事例です。
具体的には、相続人である請求人が度々相続人の口座から現金を出金していた状況において、その使途が不明であるとしてかかる金員は、請求人の管理に属する形となっており、実質的に贈与されたものであるとして更正処分等を行われ、かかる点を不服として提起された事例である。本件は金額は多額であるが、典型的な、相続贈与税の事案における口座からの現金出金が争点となっているものである。判断は基本的に抽象的な主張にとどまるものであり、請求人の帰属に属するものであるとして判断が行われている。本件は基本的には事実認定の問題であって実務家には参考となるものと捉えられる。
判断において、今現在でも実質課税の原則と明示した上で、判断を行っている点は特徴的なものであるが、使途不明あり、被相続人の用務に使用したものであるのかという点を中心に、否定的に捉え、もって請求人の帰属にあるものとしてみなし贈与として認定を行っている。
みなし贈与規定が実質課税という扱いを持つものであるのか、というような事実認定の基準を明記しているものであるとは見解が分かれるものであろうが、本件は非常に多数の資料を詳細に事実認定を行い、更に、経済的援助や引き出しの黙認というような点を包括的な事実として認定し、もって結論を導いていることは重要であろう。典型的な出金における贈与事実の認定における検討パターンであり、有益なティーチングケースとなろう。
以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿