2023年4月15日土曜日

判例裁決紹介(令和2年1月16日裁決、無申告加算税における正当な理由と精神疾患等)

さてまた興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、令和2年1月16日裁決で、無申告加算税における正当な理由の有無として、納税者が主張するような人混みに耐えられないうつ病、パニック障害等が該当するものであるのかという点が争われた事例です。 具体的には本件はシンプルな事案であり、請求人が期限後申告を行ったことにつき、無申告加算税等が賦課決定処分等されたことを不服として、係る申告となったことは、請求人本人として主張する、郵送や税理士に頼むのは手間がかかるということから、また人混みにおいてパニック等から確定申告書作成会場にいくこともできないとして正当な理由があるとして宥恕規定の提供を主張するものである。判断としては、主観的な事情に過ぎないとしてその主張を退けている。 無申告加算税) 第六十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該納税者に対し、当該各号に規定する申告、更正又は決定に基づき第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に百分の十五の割合(期限後申告書又は第二号の修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないときは、百分の十の割合)を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課する。ただし、期限内申告書の提出がなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。 本件は具体的には、上記国税通則法66条における正当な理由として如何なるものが該当するのかという点が争点となっているものである。判断としては基本的に適正な納税義務を充足している納税者との公平を図る無申告加算税の趣旨をベースに正当な理由として、真に納税者に帰責性がないことを求めるような客観的な状況を求める従前の解釈をもとに、税理士へ依頼するなど(etaxについて触れられていないのは最近の情勢からはまだまだなのかもしれない)、代替的な措置は取りうるものであり、客観的な事情から正当な理由は認められるものではないと判断している。宥恕規定であり、この適応範囲をみだりに拡張的に解釈することは認められないとする従前の対応と整合的な判断が行われているものであろう。新型コロナの影響がみられた確定申告期であれば、判断が異なる状況も想定されるが、申告納税制度を背景にしている我が国の租税制度の立場からは、このような主観的な要員は制限的に評価されることは留意されるべきであろう。 それにしても本件のような事例を読んでいると、納税義務、申告納税制度という基本的な国家を構成する、国民としての基本的な知見の向上は必要だなと租税教育の重要性を再認識します(実務ではこのような主張と日々触れるのでしょうね)。 以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているもので完成度は低いですが参考までに

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