2023年4月15日土曜日

判例裁決紹介(大阪高判令和2年1月28日、経理職員が行った架空仕入れとかそう隠蔽)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、大阪高判令和2年1月28日、関連会社から派遣された経理要員が行った架空仕入と法人における行為であると仮装隠蔽に該当するとして重加算税を賦課決定処分を行ったことを争点とする事例です。 具体的には本件は、原告(控訴人)法人が関連会社から派遣されてきた者を経理要員としていたところ、かかる要員が自らの利益のため、架空仕入を行い、もって原告等の法人税の申告において、当該架空仕入を損金として計上した上で確定申告を行ったことから、調査により架空仕入が発覚し、仮装隠蔽該当するものであるとして重加算税の賦課決定処分等を受けたことを不服として、重加算税の宥恕規定の適用要件である正当な理由の存在が争われているものである。 基本的に正当な理由の存在につき、従前同様の解釈が問題になっているものであるが、解釈としては特段差があるものではない。 判断のアプローチとしては、法人の経営に直接関わっていない、従業員と言えど、法人の行為と同視できるものであるのかという点から、実際の判断を行っており、この点も基本的に、同様の事例と大きな差異があるものではない。ただ、本件では、法人として従業員を監督すべき義務があることを一つの理由として、結論を導いていることに納税者としては控訴理由としている点が特徴的であろう。 重加算税の厳しい制約的な趣旨を考慮したものであろうが、仮装隠蔽に積極的に関与していない法人として、監督責任を問われ、もって法人としての行為である(仮装隠蔽の意思を伴った)、同一視されるものとして評価されるのは、重加算税の性格から乖離しているという考えが背景にあるものと考えられる。法人としては関連会社から派遣されてきたような要員であり、自社の要員でも直接的にはないということもこのような主張の背景にあるものと想定されるが、経理担当として派遣されてきた要員に対して文句を言えないというような、被害者的な思いが背景にあったようにも想定されるところではあるが、本件の判断のアプローチは、正当な理由において、その解釈として帰責性がないことを要求されるという点を考慮すれば妥当な判断のアプローチであるように考えられる。宥恕規定の趣旨が本来の争点であり、被害者的な発想との対比が本件の起点になっていることは認識されるべきだろう。 以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

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