2023年1月28日土曜日
判例裁決紹介(令和2年2月3日裁決、宗教法人代表者の修正申告に関する意思)
さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、令和2年2月3日裁決で、宗教法人の代表者がなした修正申告について、自身の意思を無視したものであり、無効であるとして提起した事例である。
本件は具体的には、宗教法人の代表を務める請求人が、なした期限後申告に関する修正申告【所得税、賞与であるとして4000万円が加算】について、無申告加算税等の賦課決定処分等を受けたことにつき、当該申告は、調査時の言動等によるものであり、自身の意思によるものではないとして無効、取り消しを求めるものである。宗教法人への調査に基づく、請求人への支払を調査により指摘されたことを起点とするものであり、結局のところ、自身の納税額が多額であることを要因とするものであるように思われるところであるが【本件としては宗教法人からその代表者に対してこのような多額の金銭が支給されているような事案であり、特殊なものであろうが、このような背景となるような事実関係がどのようなものであるのかという部分が個人的には気になるところ】、自身の理解不足、認識不足を主張して課税の取り消しを求める案件である。
このような納税者の認識不足等を理由とした不服申立てが、現実的にありうるのかという点は実務に最近関わっていないので、結局のところ一般的な納税者の知見はこのようなものということなのかもしれませんが、昔と変わらないなとも思いますし、実務では日常茶飯事なのかもしれません。宗教法人という非営利による租税の特別措置を付与されていても認識不足が発生するところに我が国の基本的な租税教育の不足、主権者納税者としての認識不足を感じるところ。
理解不足や知識不足などは、申告納税制度においては、基本的に考慮されることがないという原則的な判断が再認識され、申告納税制度の重要性と租税に関する知識の普及と啓発が重要であることが再認識される事例だろう。
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