2023年1月28日土曜日
判例裁決紹介(札幌高判令和2年11月12日、給与と外注の認定)
さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回札幌高判令和2年11月12日で、運転手への支払が給与であるのか、外注であるのか否かという点が基本的な争点となった事例です。
具体的には、本件は、地裁と基本的な判示を共通するものであるが、運送業を営む控訴人(原告)がその運転手に対して支払った金員が課税仕入であるとした確定申告に対して、当該金員は給与に該当するものであるとして課税仕入であることを否定した(仕入税額控除を認めない)更正処分等を不服として提起された事例である。
正直、古典的な論点であり、実務においてもこの論点に対して自分なりの見解を持っていることは当然であろうと思われるような事案であるが、同様の事案において、近年紛争として司法の判断を受けている事例であり、最近の状況を反映させるべき事案であろう。いわゆる外注と給与では、その負担が異なることは周知の事実であり、本件もその類型に属するものであるが、基本的には受けての給与所得としての認定要素である従属性をその基礎として点は、現行の事実認定、判断枠組み、特に租税法規の判断枠組みや事実認定に習熟するという点において本件は参考となるべき事例であろう。
近年は法人税法上の源泉徴収義務や役員給与という点から争われることは減少しており、概ね消費税の仕入税額控除の適用対象となるすなわち課税仕入であるのか否かという点が本件と同様に、中心的な争点であることが多くなっているが、仕入税額控除であるのか否かという点において消費税の負担は大きく相違することは明らかであり、法人としてかかる点につき、関心が高くなるのはやむを得ない。本質的にはこの構造自体が問題であるように考えているところでもあるが、適格請求書等の導入が本格化したところであり、この点が消費税の負担においても今後も焦点が当たることであろう。
ただし、本件も他の類似案件も同様に、消費税と法人税(源泉徴収)をミックスする形で取り扱いが議論されているが、実務家としてはこの感覚が未だに主流であるようにも捉えられるところであるが、今後は適格請求書を起点とした中で如何にして判断を行っていくことになるのかという点が今後の課題であり、課税仕入であることを如何にして判断を行うべきであるのかという点から今一度、判断枠組みを整理すべき時期でとは私見です。
また近年のように、従来とは異なり、働き方や契約、柔軟な働き方へと変化している環境下では(DAOとかは典型的かもしれないが、これが本格的に導入されるかどうかも含め)、このような枠組みが妥当であるのか否かという点も含め(国境をまたぐことも)人的な役務提供の判断において基準の変更が必要であるのかという点が基軸となるべきものと考えられる。
本件は、基本的に従属性を起点に判断を行っている。所得税の枠組みが活用されているが、本件では同様の業務を行う給与支給者との間で対比も行っているところで、他者との代替が行われうるものであるのかという点が判断において採用されている。この点は最近はあまりみない視点であるが、雇用という性格をよく表しているのではないだろうか。
以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。
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