2023年1月28日土曜日
判例裁決紹介東京地判令和2年12月22日、課税売上の認定)
さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、東京地判令和2年12月22日で、課税売上が存在するか否か、より正確には、仕入税額控除に見合うような課税売上割合に該当するような課税売上が存在するか否かという点が争点となった事例です。
具体的には、本件は不動産賃貸を行う原告が、その設置する自動販売機に関する収入【546円】があったものとして課税売上割合を100%として、当該課税事業年度において、仕入れた賃貸用の不動産に関する仕入税額控除の適用を行い、もって2000万円を超過する消費税の還付を申告したところ、かかる課税事業年度において資産の譲渡等は発生していないとして、課税売上は存在せず、その還付は認められないとした更正処分等を行ったことを不服として提起された事例である。
売上収入と消費税の還付金額に明らかな不整合があり、課税事業年度を短縮するなどして、賃貸用の不動産仕入のタイミングにあわせて課税売上の発生を観念し、賃貸用不動産に関する控除を最大限に活用しようとしているような作為的な印象は拭えない・・・おそらくかかるような行為をもって消費税の還付を図るような行為を租税回避であり、適格ではないという認識が起点になっていることであろう。
直接的な争点は、当該課税事業年度において、課税売上が発生したか否か、消費税法におけるタイミングの問題としているが、今後の適格請求書を基礎とする制度の中において、本件のような状況がどのように対応されるものであるのかという点は興味があるが【かかる点で意義を有するのかという点は議論の余地があろう】、本件判決は現行法の状況において、消費税法における課税売上のタイミングを如何に判断すべきであるのかという非常に基本的な点を基礎として、もって租税回避への事実上の対応策を行っている点において重要な事例であるように考えられる。
原告の主張は基本的に、契約書の計算期間をもって事業年度末を含む期間における計算書を分割し、課税売上が発生しているとした主張であり、課税売上に関する権利の確定が契約上で捉えられるのかという点が判示において否定されているのが本件の論理であるが、権利確定主義自身が所得税法や法人税法に基礎的な概念であり、消費税法において明文をもって定められているとは見解の相違があろう。かかる点につき、帳簿の連関を通じた検討もありえようが、今後は適格請求書の存在をベースとした場合において、如何にしてそのタイミングを判定すべきであるのかという点は、より検討が必要であるように思われる。
以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので、完成度は低いですが参考までに。
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