さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は令和2年1月6日裁決で、市町村民税の延滞金の減免申請却下処分につきその理由附記が課題とされた事例です。
具体的には、滞納している納税者(請求人)が、分割納付が困難になったことから、差押処分を受けるなどしていたが、延滞金債権のみが残り、生活困窮を理由としてその減免申請をなしたことにつき、処分庁が当該申請を却下したことから、その取消を求めるものであり、複数論点が含まれているものであるが、却下理由の理由附記が不備であるとして却下処分を取消した事例である。
国税の分野でも課税処分の理由附記が問われるケースは多々あるものの、概ね、その理由附記が不備であるとの請求が認められるケースは少ない。本件は、平成23年の国税通則法改正の趣旨も踏まえ、理由附記の制度趣旨を行政の恣意的な処分を抑制し、納税者の不服申立ての便宜を図る点に求めていて、本件のように根拠条文を示したのみでは、不十分であるとの判断を行っている。具体的な基準のみならず、法文の要件においてどのような判断が行われたものであるのかという点が不明瞭であるとの判断であろう(判断の減免制度への理解からは、本件処分自体が不適正であるとの判断を行っているものとは推測されるが)。
課税処分への手続不備は必ずしも処分の無効には直結しないとの判断が大勢を占める租税法規の上では、このような地方税においても些か珍しい減免申請に関してではあるが、理由附記の不備をもって処分の取消が導かれた結論は個人的には非常に珍しいものと捉えている(不備が治癒される等の主張は処分庁がなされていなかったようであるが)。
以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているもので完成度は低いですが参考までに。
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