さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、
具体的には、原告と締結した不動産の売買契約において建物及び土
第二一二条 非居住者に対し国内において第百六十一条第一号の二から第十二号 まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得(その非居住者が第百 六十四条第一項第四号(国内に恒久的施設を有しない非居住者)に 掲げる者である場合には第百六十一条第一号の三から第十二号まで に掲げるものに限るものとし、政令で定めるものを除く。)の支払 をする者又は外国法人に対し国内において同条第一号の二から第七 号まで若しくは第九号から第十二号までに掲げる国内源泉所得(そ の外国法人が法人税法第百四十一条第四号(国内に恒久的施設を有 しない外国法人)に掲げる者である場合には第百六十一条第一号の 三から第七号まで又は第九号から第十二号までに掲げるものに限る ものとし、第百八十条第一項(国内に恒久的施設を有する外国法人 の受ける国内源泉所得に係る課税の特例) 又は第百八十条の二第一項若しくは第二項(信託財産に係る利子等 の課税の特例)の規定に該当するもの及び政令で定めるものを除く 。)の支払をする者は、その支払の際、これらの国内源泉所得につ いて所得税を徴収し、その徴収の日の属する日の翌月十日までに、 これを国に納付しなければならない。
第一六一条 この編において「国内源泉所得」とは、次に掲げるものをいう。
一 国内において行う事業から生じ、又は国内にある資産の運用、保有 若しくは譲渡により生ずる所得(次号から第十二号までに該当する ものを除く。)その他その源泉が国内にある所得として政令で定め るもの
上記のように、我が国の租税制度において、国内源泉所得に対して その課税権を有していることは、国際租税として原則的な処理であ り、如何なるものが国内源泉所得に該当することになるのか(ソー スルール)、その判断を行うことは、従前課題であり、特に一般の 国内取引を中心とした場合においても、本件のように、非居住者と の取引において、源泉徴収義務を負うということにつながりうると いう点で、あまり課税実務においては、 目にしないかもしれないが、単に国際租税法の問題と捉えるのは妥 当ではなく、取引当事者が、本件のように、 一見すると日本国籍の保有者や、居住者であると判断されるような 状況にはないとしても、実質的には、国外に居住等しており、しか るに租税法規において非居住者に該当し、若しくは、居住者であり ながら、国外にもその拠点を有する場合(他国にも居住している) は、まだまだ一般的ではないかもしれないが、近年、この種の取引 は増加しており、この源泉徴収義務の適用関係の判断は、 実務においても、今後重要な課題となるのではないだろうか。 すなわち、取引において発生した所得の国内源泉所得該当性を判断 するプロセスと取引当事者の納税義務の関係を判断するプロセスが 素材となってくる。
本件は基本的に、対象となった取引における所得が国内源泉所得で あるのか否かという点がすなわち161条に定める国内源泉所得該 当性が問題となったものではなく、所得税法における納税義務、 すなわち、下記、所得税法2条に定める居住者か非居住者のいずれ かに該当するのかという点が中心的な争点となったものであり、特 に本件において認識されるべきは、契約の一方の当事者の事情によ って、本件原告のようにもう一方の当事者の源泉徴収義務の有無、 租税負担が異なるという点で、過重な負担への配慮や適切な対応が 必要とされるという点で実務においても認識されるべきものではあ り、特に近年の国際的な移動が増加している現状においては、把握 されるべき、有益な事案であるように捉えられる。
所得税法第二条
について明文の規定を置いていないが、「住所」とは、反対の解釈 をすべき特段の事由がない以上、生活の本拠、すなわち、その者の 生活に最も関係の深い一般的生活全生活の中心を指し、一定の場所 がその者の住所に当たるか否かは、客観的に生活の本拠たる実体を 具備しているか否かにより決すべきである。」
具体的な住所の意義に関しては、上記通達にあるように、また、 判示でも基本的に、生活の本拠と解されることは、 ほぼ争いがない。この点では本件も同様であり、 具体的な判定において客観的な情報による判断を行うことも含め、 整合的である。私見としても、 民法上の概念を借用する最判の判断であり、 そもそも生活の本拠という概念自体において主観的な判断を伴うも のであり、その具体的な判断において、 その客観的な判断に依拠することは、 租税負担の公平性の観点からも合理的であるように考えられる。 従って、残る問題は、 具体的な事実関係の認定及び当てはめということになるが、 本件もその判定においては、種々の要素を総合的に判断しており、 結果として国内に住所は存在しないと判断している。 住民票の存在などは主要な判断要素とはせず、 個々の事実関係を総合的に判断することで、 客観的な事情を反映させようと図ったものとと理解される。 特に公的な書類(印鑑証明や介護保険料の納付義務者等) が具体的な判断要素として主たる位置づけを有していないように評 価される点も参考となるだろう。興味深いところでは、 米国におけるペットの存在が米国における住所認定の一要素なって いる点は珍しいが、 主観的な要素を含有する生活の本拠概念において客観的な事情から 実質的な住所地の認定を行っていく以上、 このような要素も考慮対象としては妥当となるものといえよう。
上記のように、我が国の租税制度において、国内源泉所得に対して
本件は基本的に、対象となった取引における所得が国内源泉所得で
所得税法第二条
三 居住者 国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する 個人をいう。
四 非永住者 居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去十年以内に おいて国内に住所又は居所を有していた期間の合計が五年以下であ る個人をいう。
五 非居住者 居住者以外の個人をいう。
上記のように、本件の中心的な争点は、 取引当事者である売渡人が非居住者に該当するのか否かである。 従ってその意義が法令解釈として問題となるのであるが、 上記のようにその定義は、居住者以外として定義されており、 結局は居住者とは如何なるものであるのかという点が法令解釈とし て問題となる。より具体的には、国内において、 住所若しくは居所を有しているのか否かという点がその具体的な要 件となっており、近年のいわゆる武富士事件でも争われたように、 その住所の意義、認定がまずは課題となる。
本件において、売渡人は、米国籍を取得し、 パスポートも米国のものを利用して日本と米国を行き来しているが 、日本の戸籍は残存しており(従って日本国籍を放棄していない、 国籍法違反ではあるが・・・)、 住民票は当該不動産契約の対象地として登録があり、 住民票に基づく介護保険料等も収めていた。また、 米国において土地住居を保有している。また、 他に保有する不動産から、得た所得を申告していた( 当該売渡地において)。このような事実関係において、 当該売渡人が非居住者に該当するのか否かが争われ、 具体的に住所及び居所地を有していうるのかという点が問題となっ た事案が本件である。
上記のように、本件の中心的な争点は、
本件において、売渡人は、米国籍を取得し、
住所の意義)
2-1 法に規定する住所とは各人の生活の本拠をいい、生活の本拠である かどうかは客観的事実によって判定する。
(注) 国の内外にわたって居住地が異動する者の住所が国内にあるかどう かの判定に当たっては、令第14条《国内に住所を有する者と推定 する場合》及び第15条《国内に住所を有しない者と推定する場合 》の規定があることに留意する。
(再入国した場合の居住期間)
2-2 国内に居所を有していた者が国外に赴き再び入国した場合において 、国外に赴いていた期間(以下この項において「在外期間」という 。)中、国内に、配偶者その他生計を一にする親族を残し、再入国 後起居する予定の家屋若しくはホテルの一室等を保有し、又は生活 用動産を預託している事実があるなど、明らかにその国外に赴いた 目的が一時的なものであると認められるときは、当該在外期間中も 引き続き国内に居所を有するものとして、法第2条第1項第3号及 び第4号の規定を適用する。
「日本国内の居住者を判定する際の要件となる上記「住所」の意義具体的な住所の意義に関しては、上記通達にあるように、また、
加えて本件では、
「居所」とは、人が多少の期間継続的に居住するが、その生活との
具体的に、本件では、居所として以上のように解している。
また、法令における現在まで、
私見としては、
さらに、本件においても問題となっているように、
また、本件では、当該源泉徴収義務の判断において、
以上、
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