2022年8月23日火曜日

判例裁決紹介(東京地判令和3年2月26日、消費税における外注費)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今週は、東京地判令和3年2月26日で、塗装業における雇用から請負に契約変更した事案で消費税における外注と給与のいずれかであるのかという部分が争点となった事例です。 具体的には本件原告法人がその外注費として作業員に対して課税仕入であるとして支払った事実関係において(給与ではなく、希望があって外注先として変更、契約等あり)、課税庁において、コレを否定し、給与であるとして仕入税額控除を否定した更正処分等を不服として提起された事例である。古典的な論点ではあろうが、テレワークに限らず、自律的な働き方が拡大している働き方の変容の環境下においては、仕入税額控除の適用対象となるのか否かという点は、重要な点であり、古くとも新しい論点だろう。56年判決を起点に従属性を中心に詳細に指揮命令を事実関係を評価しており、特に、従業員と雇用主(原告法人)との間で合意があろうとも、その具体的な内容によって評価されることが改めて明らかとなっているものであり、ティーチングケースとしても参考となろう。本件では基本的に雇用から請負に変化しても大きな相違がなかったことがもともと処分の起点になっているものであるが、このような事実上自律的な(指揮命令が相対的に弱い)職務においては、このような状況は大いにありうるものであり、その職務の種類は拡大しているだろう。消費税法に限らず、法人税法等においても雇用と請負の区分は重要な問題であり、全般的な判断枠組みは変わらないものの、総合的な判断においてどのような点を重視していくべきであるのかという点は働き方の変容の影響を受けるものであり、このような点を考える上で参考となるべき事例だろう。 本件では指揮監督の状況が直ちに重要な判断要因とされておらず、労務提供における形態に変化がないことが判断の起点となっている。法令解釈としての判断枠組みではないだろうが、消費税法に於ける個々の取引を基礎とした形式的な判断においては、実務的には重要な着目点と考えられるのではないだろうか。最終的には、指揮監督について場所や時間、投入量等を個別に分類して判断を積み重ね判断を下しており、指揮監督の具体的判断を行う上で参考となる事例であろう。 以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

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