さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は東京地判令和元年11月19日で米国不動産の帰属が争われたものです。
具体的には、本件は相続人たる原告(夫が被相続人)が相続により取得した米国の不動産(被相続人単独名義)につき、登記名義とは異なる共同持分を有していたとして、持分部分を減額した評価額にて、相続税の確定申告を行ったことに対して、主張なような共有関係を否定した課税庁による更正処分等を不服として提起された事例である。契約関係書類や登記名義による、被相続人単独名義とは異なる夫婦による共有関係が事実として存在しているのか否かという点が中心的な争点となっている。基本的には共有の事実関係をめぐる事実認定の問題であり、相続税の基本となるべき財産関係の帰属、評価に関わる典型的な事例の一類型といえよう(立法的には夫婦財産の共同稼得と相続対応は検討されるべきであろうが)。本件の特徴は、米国の不動産の帰属関係を巡る訴訟である点であり、日本とは異なる米国における不動産の背景、米国遺産税の申告状況等の反映が如何に事実関係を考える上で、特徴的であり近年では米国への不動産投資も増加傾向であり、参考となるべきものであろう。
判示では、基本的に遺産分割協議書や米国遺産税申告書、登記名義といった客観的な書証により、共有であった(その合意があったとする)納税者の主張を排斥している。客観的な資料に加え、原告の意思表示が付与された書証であり、非常に強固な資料として、扱われているものであろう。
以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。
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