2021年10月25日月曜日

判例裁決紹介(令和元年6月18日、財産分与と無償等の資産譲渡に伴う第二次納税義務の成立)

 

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は令和元年6月18日裁決で、無償等の資産譲渡に伴う第2次納税義務の成立が争点となった事例です。

具体的には、本件は夫婦関係にあった滞納者から請求人に対して、居住等に使用していた不動産を譲渡、対価を支払っていないので贈与が行われたものとして当該譲渡は、下記、国税徴収法39条に定める無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務に該当するとして、請求人に対して係る義務の通知が行われたことに対して、かかる通知の後に離婚しており実質的な財産分与であるとして、当該義務を負うことを不服として提起された事例である。

第二次納税義務自体が、非常にマニアックな制度であり、おそらく国税徴収法を勉強したぐらいしか知らないものであろうが(最近はだいぶ変わってきただろうか、少なくとも昔はこのような扱いであったのだが)、本件は、かかる特別な納税義務である第二次納税義務の成立の是非が中心的な争点になっている。第二次納税義務は徴収の便宜を図るため、特別な行為や利益を得ている場合にのみその成立が許された、直接的な納税義務者以外に別途滞納者の納税義務をか肩代わりするような形で発生させる義務であり、故に厳格な法定要件の充足が求められる部分ではあるわけですが、本件は、かかるような無償等の譲渡の成立自体が問題となった事例であり、基本的には事実認定の問題であるものと捉えられる。実質的な財産分与であるという主張(実際の実務ではこのような課税から逃れるような離婚なども珍しくないのでしょう)に対して如何にしてその成立を否定されているのかという点が問題になっているものである。

(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
第三十九条 滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、その不足すると認められることが、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に、滞納者がその財産につき行つた政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡(担保の目的でする譲渡を除く。)、債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、これらの処分により権利を取得し、又は義務を免かれた者は、これらの処分により受けた利益が現に存する限度(これらの者がその処分の時にその滞納者の親族その他滞納者と特殊な関係のある個人又は同族会社(これに類する法人を含む。)で政令で定めるもの(第五十八条第一項(第三者が占有する動産等の差押手続)及び第百四十二条第二項第二号(捜索の権限及び方法)において「親族その他の特殊関係者」という。)であるときは、これらの処分により受けた利益の限度)において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。

以上のように、本件は事実関係として、当該贈与が実施されてから一年以上超過した後、第二次納税義務の告知処分直後に離婚したような、また、請求人の贈与税確定申告書(本件不動産に関する、配偶者控除の適用も)が提出されており、法定要件において不当等の回避的な意図の存在は要求されていないものであり、本件でも明確には認定されていないが、実質的には租税債務の滞納者が租税負担を免れようとしていることを否定することとなっている。配偶者控除の適用を申請した確定申告書の存在など、請求人の主張は、正直支離滅裂であるという印象を拭えないが、判断も

「本件離婚があったのは本件所有権移転から約1年2か月後の平成30年11月1日であり、また、上記イの(ハ)のとおり、請求人は、本件所有権移転がなされた平成29年9月7日から1年以上にわたり本件各不動産において本件滞納者と同居していたことが認められることに加え、当審判所の調査の結果によっても、本件所有権移転が本件離婚を前提として行われた財産分与であると認めるに足る証拠はない。」

上記のように、離婚を前提とした財産分与であるとの主張は排斥されている。そもそも法が要求する譲渡において、財産分与が対象となるのかという点は、検討されていない。財産分与が譲渡所得を発生させるものであるとの判示は最判でも確定しているものであるが、本件のような第二次納税義務の発生においても対象となるのかという点は、制度趣旨も考慮した上で、検討されるべきものではないだろうか。

以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

2021年10月11日月曜日

判例裁決紹介(名古屋地判令和元年5月16日、外国籍者に対する給与支払いの事実)

 

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は名古屋地判令和元年5月16日で、外国籍者の確定申告とことなる給与支払報告書の記述に基づいた更正処分の有効性が争点となった事例です。

具体的には、原告(ボリビア国籍)が平成18年の確定申告において、自己の収入を確定申告(期限後申告)したところ、当該確定申告において給与収入とされた金額が課税当局(税務署及び市税)に提出された給与支払報告書と相違があり、400円程度の給与収入が漏れていたことをもって、無申告加算税及び増額更正処分が行われたことにつき、当該記載漏れの金額は別人がなりすましたものであり、収入の事実はないものとして、処分の向こうを争ったものである。

複数箇所からの給与収入があり、給与支払報告書が提出されていたことが発端であるが原告の申告でも複数の箇所からの収入を得ていた事実は、認めており、ただし、申告給与収入とほぼ同額の金額(約400万円)が計上が漏れていたという点が基本的な事実関係として、問題の中心になっているものである。外国籍のいわゆる出稼ぎ労働であり、このような大幅収入を得ていることが不自然で勤務時間的にも給与支払報告書のような勤務状況は困難であることは合理的な主張であるようにも捉えられるところである(したがって、元同居人が原告を騙って働いていたという主張も一定の納得があろう)が、本件では、下記のように、平成18年の申告を争うものであり、申立期間をかなり超過しており、最判が示す処分の向こうを争うことができるものであるのか否かという判断枠組みの中で争う他ない状況に至っている。また、本件では、所々に更正処分等において翻訳が付与されていないという主張もなされており、かかるような点からも興味深い。

「無効であるというためには、処分に重大かつ明白な瑕疵がなければならないが、課税処分については、当該処分に課税要件の根幹に関する内容上の過誤があり、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に当該処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的事情のある場合には、当該過誤による瑕疵によって当該処分は無効となると解すべきである(最高裁昭和48年判決)

上記のように本件の中心的な争点は、不服申立期限を超過した本件のような更正処分等が、無効であるのか否かという点が中心的な争点となっている。かかる判断においては、上記最判の示すように、課税処分の特徴を考慮して重大かつ明白な瑕疵が処分において存在していることが基本的に要求され、原告等において不利益を甘受することが著しく不当であるというレベルでの状況が必要とされることとなる(例外として認められるのか否か)。この点において、本件のような一見合理的な主張であろうとも、給与支払報告の記載に基づく処分である以上、明白な瑕疵があることとして処分の無効を示すことは非常に困難であることになるだろう(これは日本国籍であろうとも同様)。

具体的な主張においても主張店点において不自然な点はあるものの、納税者の主張においても明確な他者による騙りがあったとの主張も推測にとどまるものであり、本件の事実関係においては判示がその処分の無効を認めなかったことはご合理的なものであるものと考えられる。

しかしながら、外国籍の者において特に、このような専門的な主張を、特に翻訳も付与されたものではない状況下において、適切に租税法規を理解して、対応できるというということは困難であり、立証責任を強く求められ、明白な瑕疵を要求される現行法の判断枠組みにおいて、適合的なもの、衡平にみて客観的に適正なものであるのかという指摘はあり得よう。本件のような状況では原告が実質的に救済の手続きを取ることが可能であるのかという点からは些か酷な状況であると考えてもやむを得ないものであろう。立法政策の範疇に入るものであるが、近年のようにグローバル化、外国籍の者が増加している現況、社会環境等を考慮するならば、今後は他の租税法規の適用や救済の手続き等の判断部分においてもこのような外国籍の者に対する考慮を租税法規において考慮するのか、具体的な事実関係、適用関係を争う局面では、課題となっていくのではないだろうか、本件は、社会環境の変化により、例外的な事情の判断枠組みや、グローバル化に伴う租税手続きの見直し、専門家の間で共有されている常識の見直し、再検討がも求められる必要があることを示唆する点で非常に興味深い判断であるように考えられる。


以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので、完成度は低いですが、参考までに。


2021年10月2日土曜日

判例裁決紹介(大阪地判令和2年9月14日、虚偽の住所移転と所得秘匿)

 

また、興が乗ったので、判例裁決紹介を作成しました。今回は大阪地判令和2年9月14日で、虚偽の住所移転を繰り返し、インターネットにおける所得を秘匿したとして所得税法違反のほだつ犯として提起された事例です。

具体的には、本件は被告人がインターネットのオークションにより得た所得を免れるため、居住実態のない地を住所地として登録することにより、複数年度の所得に関して所得を秘匿(所得税等3000万円超)したものであるのかという点が中心的な争点になっている、刑事の案件で厳格な認定が行われており、他の別名義の口座からの支払等が秘匿行為に該当するのか等も争点になっているが、本件では、合理的疑いが残るとして認定が行われている。秘匿行為として認定されたものがこの居住実態のない住所登録を繰り返すことで所得の把握を免れようと舌行為であり、実際、正式な調査の実施に着手するまでに事前通知から3年の長きに渡る期間を要している。被告人は、京都から、兵庫県、大阪、奈良など、複数回の住所地を移転する行為を繰り返しており、事前通知や国税局の訪問の後、住所を移転することを行っているものであり、親族に申告を促されても拒否するなど、背信的悪意をもってほだつを行っているものであろう。判示でも、最終的に納税者の主張を退けている。よく巷でも住民票を移動させれば、あるいは本店所在地を移動させ、申告場所を変化させることで納税義務の充足を免れようとする行為が報告されているが、本件は、近年では珍しく、このような住所地移転における行為を明確に下記のように、所得秘匿行為であるとして、判断している。

「税務署は、原則としてその管轄区域内に住所を有する納税義務者を対象として所得税の賦課徴収に当たるため、納税義務者が居住実態のない住所に虚偽の住民登録を行うことで居住実態と住民登録が異なる状態が生じると、当該納税義務者につき管轄を有すべき税務署において、当該納税義務者の存在自体を把握できず、これを把握しても当該納税義務者が居住地等につき虚偽を述べるなどして、税務調査に着手しても所得の把握が困難になるといった事態が生じ、税の賦課徴収が困難となる。」

本件では、対象となった納税期間においては、住所地を移転させることを行っていない期間も含まれているが、居住実態のない住所地への虚偽登録を行っていること自体がそもそも問題のある、所得秘匿行為であるとして判断しており、上記のような居住実態の乖離が基本であると判断している点は特徴的であろう。


以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。


2021年10月1日金曜日

判例裁決紹介(東京地判令和2年1月30日、概算経費控除の対象)

 

さて、また興が乗ったので、判例裁決紹介を作成しました。今回は、東京地判令和2年1月30日で、医師が提供した医療給付が概算経費控除の対象となる社会保険診療報酬の特例の適用対象となるのか否かという点が争点になった事例です。

具体的には、麻酔科医として自己の医院も開業している原告が自己の病院以外で委託契約により実施した手術等の麻酔提供の業務の対価として受け取った報酬が下記、租税特別措置法26条に定められる社会保険証料報酬の所得計算特例(概算経費控除)の適用対象となりうるものであるのか否か(当然自己の医院における収入が対象であることは争いがない)という点が主たる争点となった事例であり、当該報酬も含んだ形で確定申告に対して、課税庁が当該報酬は、適用対象ではないとして更正処分を行ったことを不服申立を行ったことが発端となっている事例である。

確定申告に携わったものであれば、おなじみの医業に関する重要な特例の一つである概算経費(そもそもこの位置づけ、優遇税制としてどのように評価するのかという立法論的な議論も必要な時期にあるようには私見としては思うところ。私見としては、医療に限らず人的な役務提供が社会的な位置づけも含め、質量ともに増加している現況では概算経費控除の制度を導入すべきものと考えているが)であるが、この適用範囲をめぐる事例は比較的珍しいものであろう。純粋な租税法規の問題というよりも、借用する健康保険法の問題であるという点とも評価できるものであろうが、本件医療という非常に高度に専門化された職務であり租税法規の範疇を超えるものという意見も想定されるところであるが、本件の判断は所得税にとどまらず、消費税の負担にも重要な影響を及ぼす(非課税であるのか否か等)ものであり、租税実務家としても留意すべき判示であろう。

もう少し一般化した話としても、近年の労働環境における人的役務の提供に関しても問題を提起するような事例でもある。近年は雇用的自営も含め、非従属的な職務のあり方が増加し、租税法規の適用上も課題として議論されている。本件では本件別医院での人的役務の提供が事業所得であることは特段争いのないものであり、これが単に業務委託を受けたものであるのか、それとも社会保険料収入であるのかという点で争いになっているが、事業所得の中に複数の類型の所得が入ってきた上で、課題が発生していることは興味深い。副業の増加(そもそも副業という言い方が異なるように思うが、労働法はともかく、租税法規の適用上、主たるものとそうではないものを区分することが如何なる意義を有するのかという点は検討課題であるように考えられる。複数の所得源泉を持っていることが現行法上の課題であろう)に伴う同一所得区分の中に複数の所得源泉が発生することが必ずしも例外的なものではなくなってきたことを、租税法規の立場からはどのように評価するのかという点は現代的な課題として検討すべきであろう。上記のようにおそらくは消費税も含んだ形での課題が顕在化するものであり、このような収入が給与であるのか報酬であるのか(外注請負)、という古くて新しい問題(そういえば、以前の給与と報酬の区分の問題も麻酔科医の収入が対象となっていたものであるが、なにか麻酔科医は特性として独立的な業務の提供が必要となるものであるのだろうか)も含め検討すべき項目が多いものと考える。

(社会保険診療報酬の所得計算の特例)
第二十六条 医業又は歯科医業を営む個人が、各年において社会保険診療につき支払を受けるべき金額を有する場合において、当該支払を受けるべき金額が五千万円以下であり、かつ、当該個人が営む医業又は歯科医業から生ずる事業所得に係る総収入金額に算入すべき金額の合計額が七千万円以下であるときは、その年分の事業所得の金額の計算上、当該社会保険診療に係る費用として必要経費に算入する金額は、所得税法第三十七条第一項及び第二編第二章第二節第四款の規定にかかわらず、当該支払を受けるべき金額を次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる率を乗じて計算した金額の合計額とする。

以上のように、本件の中心的な争点は、自己の経営する医院以外からの業務委託からの収入が、社会保険診療につき支払いを受けるべき金額に該当するものであるのか否かという点が課題となっている。

「置法26条1項が定める本件特例は、医業又は歯科医業を営む個人が社会保険診療につき支払を受けるべき金額を有する場合において、当該支払を受けるべき金額が5000万円以下であるときに、当該社会保険診療に係る費用として必要経費に算入する金額を、社会保険診療報酬の収入金額に応じ4段階に区分して定められた割合(概算経費率)に相当する金額の合計額とする旨を定めている」

本件は租税特別措置であり、その制度趣旨が重要な解釈上の指針となるべきものであるが、上記のように制度を理解した上で、基本的には健康保険法の規定を準用しているものであるとして、

「本件手術は保険医療機関である本件各病院において実施されたものであるところ、本件手術における本件麻酔施術は、同じく保険医療機関である本件クリニックを個人で開設する原告が行ったものであるため、本件クリニック(原告)が自ら主体として療養の給付を行ったと評価することができるか(すなわち、原告は本件麻酔施術に係る社会保険診療につき支払を受けるべき地位にあるのか

という点を主たる争点としている。

「健康保険法においては、人と物とが結合された組織体である保険医療機関が療養の給付の担い手となるものとされており、また、保険医療機関が行う療養の給付の内容として、傷病の治療等に必要かつ相当と認められる一連の医療サービスの給付が定められていることに照らすと、ある患者の治療等について複数の保険医療機関が関与する場合、一方の保険医療機関のみならず他方の保険医療機関も自ら主体となって療養の給付を行ったと評価されるためには、各保険医療機関の医師等が当該患者の治療等のために行った行為の具体的内容及びその関与の程度、各保険医療機関における物的設備等の負担の有無及び程度、他方の保険医療機関が当該患者の治療等に関与することとなった経緯及び双方の保険医療機関の関係等の事情を考慮して、他方の保険医療機関における関与が、人と物とが結合された組織体である保険医療機関として、自ら主体となって当該患者に対しその傷病の治療等に必要かつ相当と認められる医療サービスの給付を行ったものと評価することができるか否かという観点から判断することが相当である。」

すなわち上記のように、法令解釈を示した上で、保険医療機関の性格から報酬を受けるべき対象として組織体として主体的に診療を行ったものであるのかを認定されるか否かという点を基礎としている。私見としても法文が社会保険診療報酬に関する支払を受けるべきとしている以上、このような複数の医療機関が関与した事例においても一方の医療機関にのみ保険診療報酬を受けるものという認定を行うこと(申請や支払などの形式に必ずしもこだわらず)を求めているものではなく、実質に則った判断を許容しているものと解すべきものと考えられる。ただし、総合考慮を基礎としつつ主体的に医療サービスを給付しているとしている点は如何なるものを主体的としているのか必ずしも明らかではなく、予測可能性の観点から疑義があるものと考える。通常、業務が継続的に行われている環境(本件では医療サービスの中でも更に特殊な手術が問題になっているが)において、医療の専門家として自律的な判断がなされている(専門職であれば、当然でもあり、これは所得税法56条の問題において、弁護士夫婦事件といわゆる称される案件でも同じような課題を発生することになるだろうが)、ことが期待されているものであり、組織体として人と物が結合されているという保険医療機関を前提とするならば専門業務に関する部分は、主体性を自ずと有している可能性がある。かかる点からは主体的という判断の枠組みは健康保険法等の法令判断の枠組みとしてはともかくも租税法規の適用においては一要因として理解されるべきであろう。そもそもとして所得税法の収益の帰属の概念自体が曖昧であるとの課題が前提ともいえようが。

また、本件は、複数の者(専門職)が一体となって、チームを組み、医療サービスの給付を行っている点が前提として、本件のような複数の医療機関、組織体の関与の場合の問題の発生を生じている。専門職においては特にではあろうが、旧来の想定は、専門職として独立して自律的に役務提供がなされることが想定されていた。本件特例もまた同様であり、現在では複数の者が一体となって役務提供を行うことが珍しくなくなってきている点とは前提が異なる状況になってきているものと考えられる。専門職が細分化されている現状等も鑑みられた点であろうが、本件対象の医療に限らず、研究開発、事業再生等々、専門的な業務では特に複数の専門家の関与によって一体としての役務提供がなされる場合が考えられる。この一体としての役務を分解して個々の業務に分解した上で判断することが妥当であるのかという点も、所得の帰属、区分判断において重要なものであろう。今後ジョブ型の職務のあり方が一定の地位を得た場合には、このようなチームを組む役務提供とは親和性が高く、このような点からも本件事例は、今後の所得区分の判断院おいて検討すべき課題を明らかにしてくれる事例であるものと捉えられる。

以上です。毎回のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。