2018年7月31日火曜日

判例裁決紹介(平成29年5月23日裁決、認知能力の低下と正当な理由)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、平成29年5月23日裁決で、認知症(性格な病名に関しては墨塗りのため把握できないが、請求人の主張から認知能力の低下を伴う病気であるように捉えられる)のため、申告を行う事ができなかったことにつき、正当な理由があるのか否かという点が争われた事例です。

具体的には、平成27年度確定申告期(平成28年)次点で認知能力の低下を伴う状況にあったものと主張されている請求人が平成27年中にかつて相続により取得した不動産につき、譲渡を行ったものの、当該不動産の譲渡に関する所得税申告を行っておらず、かかる無申告につき、請求人の認知能力の低下があったとして正当な理由があるのか否かという点が問題になったものである。最終的には判断能力の低下と帰責性を認めず、正当な理由の成立を否認している。

(無申告加算税)
第六十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該納税者に対し、当該各号に規定する申告、更正又は決定に基づき第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に百分の十五の割合(期限後申告書又は第二号の修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないときは、百分の十の割合)を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課する。ただし、期限内申告書の提出がなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
一 期限後申告書の提出又は第二十五条(決定)の規定による決定があつた場合
二 期限後申告書の提出又は第二十五条の規定による決定があつた後に修正申告書の提出又は更正があつた場合
以上のように、本件は、無申告加算税における正当な理由の有無が問題になっているものである。この正当な理由とはなにかという点は、従前多様な事例が存在しており、本件もその類型に属するものであろう。正当な理由とは如何なる意義を有するものであるのかという点が本件の起点になっているものであるが、かかる解釈は以下のように、基本的に従前と整合的であり、制度趣旨として、適法に申告した者との公平性確保と適正な申告納税の実現を企図したものであり、具体的な要件として、納税者における帰責性の有無と、不当性の有無が求められており、かかる点から、限定的なものとなっているものと解される。けだし、自主的な申告を前提とする申告納税制度が基礎となる現況において、その申告の未提出に関して許容すべきで点は、限定的と解さざるを得ないものと理解すべきであろう。

かかる点において、本件は、基本的に事実認定の問題として理解されるべきものと捉えられる。しかしながら、本件においては納税者の認知能力(判断能力として表記されている)の低下につき、明示的な立証が図られていないものの、高齢社会の実現により、かかるような認知能力の低下は、納税者にとって回避し得ないような状況となってくるものと考えられ、立法による解決を図るべき問題であるのかもしれないが、近年は、本件のような事例が増加しつつあるようにも捉えられる。このような状況下において納税者個人を対象とした、申告納税制度を前提とする附帯税の宥恕規定として極めて限定的な解釈によるべきものであるのかという点は今後の検討課題となるのではないだろうか。

「無申告加算税は、法定申告期限までに納税申告書の提出がなければ、原則としてその納税者に対し課されるものであり、これによって、当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに、無申告による納税義務違反の発生を防止し、適正な申告納税の実現を図り、もって納税の実を挙げようとする行政上の措置である。この趣旨に照らせば、通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」があると認められる場合とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、上記のような無申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に無申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である。」

また、本件では、上記のように基本的な解釈を示した上で、具体的な事実関係として、確定申告期において判断能力の低下はないとして正当な理由の成立を否定している(如何なる点からかかるように判断したのかという点は定かではないが)。正当な理由と認知能力の低下の関係性については、他の事例も調査すべきものであるが、本件のような状況下において、認知能力の低下をもってしても、正当な理由としての該当性を否定しているものではなく、帰責性等の観点からより個別的な事例にあわせて判断する必要性があるだろう。但し、本件でもあくまでも帰責性の点からのみ判断しており、不当性を如何にして捉えるべきかという点は、他の租税法規における不当と同様に必ずしも明らかとはなっていないものとも捉えられる。

加えてこの判断能力の状況や、納税者に対する帰責性がないことの証左として、本件では、本件の起点となった相続財産の売却による譲渡次点の納税者の状況をもってしている。すなわち譲渡次点(平成27年6月)では、正常に譲渡取引を請求人自ら、行っており、代理人等を立てていないことから、一定の帰責性を認定している。この点につき、単なる確定申告時期における認知能力に対する点を補足したものとしての事実関係として譲渡次点を捉えているのか、あるいは、譲渡次点の状況も含め帰責性の判断のタイミングに含むものであるのかという点は必ずしも明示的に判断しておらず、この位置づけは不明瞭である。しかしながら正当な理由はあくまでも無申告に関する理由付けが課題となっているものであり、あくまでも申告期における状況をもって判断すべきものと考えられるが、かかるように、起点となった行為の次点をも考慮されるべきものであるのかという点は、正当な理由の判断の起点を如何なるタイミングによるべきかという点で検討すべきものであるように考えられるのではないだろうか。特に本件のように認知能力の低下が時系列により低下を伴うような状況も想定されるものであり、補足材料として捉えるのではなく、正当な理由の判断タイミングを遡求するような判断は期間税である所得税法において、適正な申告と公平性の確保を企図した無申告加算税の趣旨と適合的なものではないのではないとも考え得られよう。

また、直接的には本件判断とは関係がないが、本件の未申告の納税者サイドでの把握が税務署からの譲渡所得に関するお尋ね文書から行われている。近年はこの種のお尋ね文書が増加しているようであるが(この点はどのようになっているのか実務家に聞いてみたいところ)、係る書類お課税処分の位置づけを如何に考えるのかという点は、更正処分の認知の関係などの点で、さらに検討すべきものではないだろうか。

以上です。毎度のごとく論文stockとして作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

2018年7月24日火曜日

判例裁決紹介(平成29年6月14日裁決、給与所得と事業所得の区分)

さて、また興が乗ったので、判例裁決紹介を作成しました。今回は平成29年6月14日裁決で、設備業を営む請求人が給与所得者から事業所得者へ転換したとして、事業所得における損失と給与所得を損益通算を求めた事例です。

本件は、給与所得者として勤務していた請求人が年度途中の契約変更により同勤務先から、福利厚生等の都合から業務委託契約を受け、事業を営む形式に変更し、もって事業所得にかかる損失と給与所得の損益通算が認められるか否かが争点となったものである。勤務実態等の変更が事実上なく、実質的に変更はないとして、その事業所得への転換を認めず、もって損益通算を否定した事例であるが、事業所得と給与所得の区分が起点となっているものである。すなわち外注費か給与であるのか否かという点が問題になっているものであり、かかる点は古くて新しい問題として、従前議論されてきているものである。

第二十七条 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。

(給与所得)
第二十八条 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
法は上記のように、各所得を規定しているが、人的役務の提供という点においては、その具体的な差異は、僅少であり、数多くの裁判事例が積み重ねられてきた。本件も基本的にその類型に属するものであり、事業所得と給与所得の境界において、如何にして事実関係から当てはめが行われているのかという点が興味深い点であろう。法令解釈としては、下記のようになっており、給与所得との区分に関しては、従前の判例を踏襲しており、かかる点からは、本件は基本的に特徴的なものではなく、基本的には事実関係が問題となっている事例である。

「業務の遂行ないし労務の提供から生ずる所得が所得税法上の事業所得と給与所得のいずれに該当するかを判断するに当たっては、租税負担の公平を図るため、所得を事業所得、給与所得等に分類し、その種類に応じた課税を定めている所得税法の趣旨、目的に照らし、当該業務ないし労務及び所得の態様等を考察しなければならない。そして、判断の一応の基準として、両者を次のように区分するのが相当である。すなわち、事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい、これに対し、給与所得とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいうものと解される」

本件では給与金額の差異がなく、退職共済が継続中であり、、雇用保険等の休止手続は取られ、請負契約が締結されている、損害負担などの事実関係が基本となっており、総合的に判断して、給与所得としての判断が行われているものである。上記の要件に如何なる部分が合致しているのかという点は必ずしも定かではなく、単なる事実関係の指摘にとどまるものであり、総合的判断は、専門家としても境界が定かとは評価し難い状況になろうかと捉えられるところでもあるが、本件ではよく言われる契約書や社会保険の手続等の存在等の事業所得性を肯定する要因を多いところではあり、実務的にも本件判断は示唆されるべきものが多く、有益なものであるように考えられる。年度途中での契約の変更は、基本的に稀であり、本件のように何らかの人的役務の提供が継続している場合においてはたとえ形式的に所得稼得形態を変化していたとしても、多分に実質的な役務提供の形態を判断することが専門家として留意されるべきものであることを示しているようにも捉えられ、私見としては格好のティーチングケースであるように評価される。

以上です。毎度のごとく、論文stockとして作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

2018年7月14日土曜日

判例裁決紹介(平成29年6月13日裁決、保険金のみなし相続財産該当性、夫婦間における費用負担)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は平成29年6月13日裁決で、共済より受領した金員のみなし相続財産としての該当性が問題となった事例です。

具体的には、被相続人である請求人が相続人であるなき配偶者が結んでいた共済契約に基づく受領した金員につき、課税上の扱いが如何なるものとして捉えられるのかという点が課題となった事例である。すなわち、当該契約の掛け金を実質的に負担しているのが請求人であり、雑所得として帰属するものであるのか、あるいは契約名義通り、負担者は名義人である配偶者であって(実際、名義人である配偶者の生命保険料控除の対象としていた)相続税法に定めるみなし相続財産に該当し、所得税法9条規定に基づき非課税であるのか否かという点が争点となったものである。最終的には支払口座等の名義人から実質的な負担者が被相続人である配偶者ではなく、請求人であることから、課税関係が判断されている事例である。

所得税法9条の適用対象として生命保険に関する二重課税に関しては一時期話題となったが、本件はそもそもとして、当該契約がみなし相続財産に該当するのか否かという点が争点となっているものであり、より具体的には、下記、みなし相続財産に関する規定のうち、負担関係が如何なるものであるのかという点が中心的に争われている。しかるに、基本的には契約に関する資金の出所を中心とした事実関係の争いが基礎となっているものであるが、そもそもとして被相続人が負担するとは如何なる意義に解されるべきであるのかという点が起点となっているものであり、相続税法における保険契約の負担者を以下に認定するのかという点は留意点を示している事例であると言えよう。一般的な納税者の感覚としては、従前の配偶者の申告において当該契約の掛け金に対して生命保険料控除を適用して申告したいたこともあり、その負担者を同じ租税法規の適用の局面において否定的に解されることは、理解しがたいとの考えることもやむを得ない点であり、単に単一の所得税法、相続税法の理解だけではなく、統合的にアプローチすべきものととして実務上も参考となるべきものと捉えられよう。特に本件は、資金の支払い方法に着目しており、名義口座における資金移動関係が重要な認定の要素となっている点も負担関係の認定における実務上の判断において参考となるべきものと評価される。

第三条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失つた者を含まない。第十五条、第十六条、第十九条の二第一項、第十九条の三第一項、第十九条の四第一項及び第六十三条の場合並びに「第十五条第二項に規定する相続人の数」という場合を除き、以下同じ。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。
一 被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する生命保険会社と締結した保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下同じ。)その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(共済金を含む。以下同じ。)又は損害保険契約(同条第四項に規定する損害保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る。)を取得した場合においては、当該保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)について、当該保険金(次号に掲げる給与及び第五号又は第六号に掲げる権利に該当するものを除く。)のうち被相続人が負担した保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分

以上のように本件は、請求人が受領した共済契約に基づく受領金が、被相続人が負担したものとみなして相続財産の適用対象となるのか否かという点が中心的な争点となっており、かかる点により、当該金員に対する所得税法上の取扱等も影響を受けるものである。この具体的な判断基準として掛け金の負担が問題とされているものである。

「生命保険契約においては、契約者は、保険会社に対して保険料の支払義務を負っており、一般的には、払込みの義務を負った保険契約者と保険料負担者が同一になると考えられるが、保険契約者でない者が保険料を負担している場合もあることから、所得、相続の各税法においては、これらの場合を予定して、取得した保険金の課税関係をそれぞれ規定しており、これら規定上の保険料の負担者とは、単に保険契約者をいうのではなく、実質上の保険料負担者をいうものと解される。そして、預貯金口座等からの振替によって保険料等の支払がなされている場合は、その保険料等の実質上の負担者は、特段の事情のない限り、当該預貯金口座等の名義人であると解するのが相当である。」

かかる点につき、判断では、上記のようにみなし相続財産の規定を解しており、当該判断に基づき、主として口座の名義や管理支払関係を基礎とした判断を行っている。そもそもかかる解釈において名義を基礎とした判断を行ったものは如何なる根拠に基づくものであるのか、あくまでも口座は、金銭の出納を標章するものであり、個人課税を原則とする以上、かかる判断の基礎とするものとして一定の合理性があるが、特に課税処分の大量性などの性格に元付けはその判断根拠としての位置づけは一定の理解が行われるものである。しかしながら、民事法における夫婦間の財産関係も(夫婦財産契約等を除く)前提として考えるならば、共同体として連帯的にその負担関係を営むことを鑑みるならば、かかる点において個人課税を貫く形で名義人等を基礎とした判断に依拠していることは、必ずしも妥当と言えるのであろうか。その基礎には従前の家族関係がベースであるように考えられ、本件のように現代社会においては、共稼ぎが通常であって、個人所得課税を基礎とした判断が今後は合理性を持つ可能性もあるが、今後の家族関係のあり方、働き方等も考慮に入れた判断枠組みが必要であるように考えられよう。

また、保険料の負担者は、実質的な負担者をいうものと解されているが、みなし相続財産の趣旨から、その負担関係を基礎としている以上、単なる名義人を排するものであることは合理的であろう。しかしながら、そもそも負担とは如何なるものを指すものであるのか、という点は必ずしも定かではなく、単なる名義人を超えて課税を行う以上、相続税法規が如何なるものを負担と捉えているのかという点はより検討が行われるべきであろう。私見としては、相続税が遺産取得税を基礎とする以上は、相続財産を構成する財産からの出捐が明らかであることが基礎として負担を行っていると解するべきであり、法的な義務の存在等を負担として捉えることは趣旨に反するものであるのではないかと考えられる。かかる点に基づき相続財産の範囲を確定する基準が議論されるべきであろう。

さらに、所得税法における生命保険料控除と負担関係の関係性もまた議論されるべきであろう。保険契約のように比較的長期間に渡り契約関係が発生する契約においては、所得税法において一定の合理性が認められていた処理をもって事実上の判断基準として機能していると理解されてもやむを得ない。実際、上記解釈によれば所得税法における負担と相続税法における負担とは整合性が図らられているように捉えられる。生命保険料控除の適用に関しては実質的にその適用を判断する基準がそもそも曖昧なものである可能性は大いにあり得ようが(この辺は実務家に聞いてみたいところ)、その適用要件と、相続税法、所得税法における負担関係の関係性は更に検討されるべきものではないだろうか。


以上です。毎度のごとく論文stockとして作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

2018年7月10日火曜日

判例裁決紹介(東京地判平成29年12月6日、資本剰余金と利益剰余金を原資とする配当におけるみなし配当計算方法)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は東京地判平成29年12月6日で、資本剰余金と利益剰余金を原資とする配当におけるみなし配当計算方法が問題となった事例です。

具体的には、内国法人である原告が、子会社である外国法人より受領した配当につき、利益剰余金と資本剰余金を原資とするものであるとして、それぞれ個別に課税上の対応【益金不算入、みなし配当の計算】を行っていた場合において、かかる配当は同一日に行われたものであり、一体のものであるとして、すなわち双方を原資とした配当であり、経済的価値の流入であり、全額がみなし配当の計算の対象となるものであって、益金不算入の過大計上であるとして(もって連結での所得金額の減少、繰越欠損金の減少)、更正処分が行われた事例である。外国子会社からの配当であり、かかる点においては特殊なケースであるようにも考えられるが、問題となっているみなし配当の計算の対象を如何に解するべきであるのかという点が起点となっているものであり、かかる解釈を示した事例としては先例的価値を有するものと考えられる。法人税法における資本部分に関する取扱が問題となっているものであり、非常にテクニカルな事例ともいえようが、判示においては、最終的に課税庁が主張するようにみなし配当の対象として資本剰余金と利益剰余金双方を原資とする場合も含まれうるものであるとした解釈を支持しているものの、最終的には、その委任を受けた施行令における計算規定が、二重課税を排除をすることを趣旨とする本文規定との間で委任を逸脱している部分があるとして、原告の請求を一部認容している。このように、租税法の基本的な要請として政令への委任の限界を検討する上でも参考となるべき事例と捉えられよう。高裁でもこの判断が維持されるか不明であるが、法人税法における資本部分に関する租税上の取扱を律する貴重な事例であり、特に近年は、受取配当金に対する益金不算入規定が改正されたこともあり、実務上も重要な事例となるものと考えられる(より深く検討したい)。


(受取配当等の益金不算入)
第二十三条 内国法人が次に掲げる金額(第一号に掲げる金額にあつては、外国法人若しくは公益法人等又は人格のない社団等から受けるもの及び適格現物分配に係るものを除く。以下この条において「配当等の額」という。)を受けるときは、その配当等の額(完全子法人株式等、関連法人株式等及び非支配目的株式等のいずれにも該当しない株式等(株式又は出資をいう。以下この条において同じ。)に係る配当等の額にあつては当該配当等の額の百分の五十に相当する金額とし、非支配目的株式等に係る配当等の額にあつては当該配当等の額の百分の二十に相当する金額とする。)は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。
一 剰余金の配当(株式等に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の減少に伴うもの並びに分割型分割によるもの及び株式分配を除く。)若しくは利益の配当(分割型分割によるもの及び株式分配を除く。)又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。)の額
(外国子会社から受ける配当等の益金不算入)
第二十三条の二 内国法人が外国子会社(当該内国法人が保有しているその株式又は出資の数又は金額がその発行済株式又は出資(その有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の二十五以上に相当する数又は金額となつていることその他の政令で定める要件を備えている外国法人をいう。以下この条において同じ。)から受ける前条第一項第一号に掲げる金額(以下この条において「剰余金の配当等の額」という。)がある場合には、当該剰余金の配当等の額から当該剰余金の配当等の額に係る費用の額に相当するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。
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配当等の額とみなす金額)
第二十四条 法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この条において同じ。)の株主等である内国法人が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の資本金等の額又は連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額は、第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなす。
一 合併(適格合併を除く。)
二 分割型分割(適格分割型分割を除く。)
三 株式分配(適格株式分配を除く。)
四 資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち分割型分割によるもの及び株式分配以外のもの並びに出資等減少分配をいう。)又は解散による残余財産の分配
五 自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第六十一条の二第十四項第一号から第三号まで(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)
六 出資の消却(取得した出資について行うものを除く。)、出資の払戻し、社員その他法人の出資者の退社又は脱退による持分の払戻しその他株式又は出資をその発行した法人が取得することなく消滅させること。

「法人税法23条1項1号の「剰余金の配当(‥資本剰余金の額の減少に伴うもの‥ を除く。)」との規定が、その文理上、資本剰余金を原資とせず、益剰余金のみを原資とする剰余金の配当を意味するものであることは明らかであるから、同号にいう「剰余金の配当(‥資本剰余金の配当の額の減少に伴うもの‥を除く。)」とは、利益剰余金のみを原資とする剰余金の配当を指すものと解するのが相当である。そして、法人税法24条1項3号の「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」との規定は、同法23条1項1号の「剰余金の配当(‥資本剰余金の額の減少に伴うもの‥を除く。)」との規定と対になった規定であり、このうち同法23条1項1号の規定が上記のとおり利益剰余金のみを原資とする剰余金の配当を意味するものであることからすれば、その文理の論理的帰結として、同法24条1項3号の規定は、利益剰余金のみを原資とする剰余金の配当を除いた剰余金の配当、すなわち、資本剰余金のみを原資とする剰余金の配当及び資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当を意味するものと解するのが自然である。また、同法24条1項柱書きの「株式又は出資に対応する部分の金額」の計算の方法は、同法の委任を受けて政令で定めることとされているところ(同条3項)、政令の定めの内容いかんによっては、資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当が行われた場合に、資本剰余金を原資とする部分の剰余金の配当と利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当のいずれが先に行われたとみるかによって、上記の「株式又は出資に対応する部分の金額」及びみなし配当の金額が異なる結果となり、そこに恣意性が介在して課税の公平性を損なうこととなる事態も想定され得ることから、資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当を同法24条1項の適用を受ける剰余金の配当と整理することによりこの問題の解決を図ったものであるとする被告の主張には合理性が認められ、同法23条1項1号及び24条1項3号の規定が「資本剰余金を原資とするもの」という端的な規定振りではなく、「資本剰余金の額の減少に伴うもの」という含みを持たせた規定振りとなっているのも、上記のような趣旨によるものと解することができる。したがって、同法24条1項3号にいう「剰余金の配当資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」とは、資本剰余金のみを原資とする利益余金の配当及び資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当を指すものと解するのが相当である。 」

以上のように、本件は原告がなした配当に対する原資のいかんによってその取扱を決定する上で、以下にみなし配当の計算対象を解すべきであるのかという点が課題となった事例である。複合的な理由によるものであるが、判示は課税庁の主張を認め、みなし配当の対象として、 資本剰余金の額の減少に伴うもの‥ という文言において、これを資本剰余金に限定されるべきものであるのか、あるいは、資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とするものを含むものと捉えるのか見解が別れた点に対して、双方を含むものとして判断した。そもそも、配当の原資は、その原資を如何に行うかは、経営判断に属するものであり、資本政策によるものであって、実際の資金源泉は法人内部の余剰資金を当てることに差異はなく、裁量の余地が大きいものである。ここに課税上その原資によって取扱を変化させることは、恣意の介在する余地を生むことになり、法人税法が一般規定によって資本等取引と損益取引を区分していることとバランスを取る必要があるものであると考えられる。本件判示はかかる点において、恣意の余地が生まれることなどを回避すべきものとして、資本剰余金の額の減少を伴うものという、いささか不安定な、不明瞭な文言をを解しているものと評価される。確かに法人税法は22条5項において資本等取引と損益取引を区分しているが、かかる点において資本と利益を区分することを大原則としているという理解を行うことも可能であろうが、すなわち、借用概念として資本剰余金を限定しているものと理解することも一定の合理性を有している。しかしながら当該区分はあくまでも所得計算における規定(すなわち適正な所得を算定する目的)であり、かかる点を強調して法人税法一般に適用可能であると考えることは早計であろう。上記のように、二重課税を調整することを目的とする(もちろんこの部分も資本と利益の区分と関連しているといえようが)みなし配当における恣意の抑制等も法人税法が要請する重要な原則であると理解すべきであろう。

また、本件では、資本剰余金と利益剰余金を原資とすることについて、本件配当を行った外国子会社の設立地における法概念の検討を行っていない。いわば、Capitalのリターンとdivendの相違であるようにも考えられるが、所与の前提のように外国法に基づく設立法人の配当に関する行為を日本法の概念(特に資本剰余金と利益剰余金)に当てはめているように捉えられる(設立地における法規定の性格を検討していない)。近年は外国法人としての権利帰属義務の主体となった存在にLPSが該当するものであるのか否かという点が争点となる事例が裁判例において多数未うけら得るようになってきたが、本質的にこの国際化が進展した現代において、諸外国における法概念を如何にして租税法規の適用において反映させるべきであるのかという点は重要な論点ではないだろうか。そもそも、この場合において比準対象となる利益剰余金や資本剰余金の概念自体が民事法において明確であるのかという点も更に検討が必要であろう。

法人税法施行令
四 法第二十四条第一項第四号に掲げる資本の払戻し又は解散による残余財産の分配(次号に掲げるものを除く。以下この号において「払戻し等」という。) 当該払戻し等を行つた法人(以下この号において「払戻法人」という。)の当該払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等(当該直前の資本金等の額又は連結個別資本金等の額(以下この号において「直前資本金額等」という。)にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(直前資本金額等が零以下である場合には零と、直前資本金額等が零を超え、かつ、イに掲げる金額が零以下である場合又は直前資本金額等が零を超え、かつ、残余財産の全部の分配を行う場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額をいう。)を当該払戻法人の当該払戻し等に係る株式の総数で除し、これに同項に規定する内国法人が当該直前に有していた当該払戻法人の当該払戻し等に係る株式の数を乗じて計算した金額
イ 当該払戻し等を第二号イの分割型分割とみなした場合における同号イに掲げる金額
ロ 当該資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は当該解散による残余財産の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額(当該減少した資本剰余金の額又は当該合計額がイに掲げる金額を超える場合には、イに掲げる金額)
イ 分割型分割の日の属する事業年度の前事業年度(当該分割型分割の日以前六月以内に法第七十二条第一項(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等)又は第八十一条の二十第一項(仮決算をした場合の連結中間申告書の記載事項等)に規定する期間についてこれらの規定に掲げる事項を記載した中間申告書又は連結中間申告書を提出し、かつ、その提出の日から当該分割型分割の日までの間に確定申告書又は連結確定申告書を提出していなかつた場合には、当該中間申告書又は連結中間申告書に係るこれらの規定に規定する期間)終了の時の資産の帳簿価額から負債(新株予約権に係る義務を含む。)の帳簿価額を減算した金額(当該終了の時から当該分割型分割の直前の時までの間に資本金等の額若しくは連結個別資本金等の額又は利益積立金額若しくは連結個別利益積立金額(第九条第一項第一号若しくは第六号(利益積立金額)又は第九条の二第一項第一号若しくは第四号(連結利益積立金額)に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額)
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以上のように原則的な判断として、本件では、みなし配当の計算における配当の原資の対象として資本剰余金に限定されるものとは解さず、資本剰余金と利益剰余金双方を原資としている。しかしながら最終的な判示では、原告の請求を一部認めている。その理由としては、上記規定が基本的に二重課税の排除(利益に対するもの、国際的な)を基本目的としたものであり、かかる点からはテクニカルな規定であるが、その具体的な上記政令に委任された計算規定がその趣旨と比して委任から一部逸脱していると場合がありうるとして、本件はその場合に該当するとしているものである。すなわち、双方を原資とすることで、上記事例における減少した資本剰余金の額の計算額が実際の資本剰余金の減少額よりも多額となり、もって利益剰余金による配当部分を侵食し、実質的に二重課税を引き起こす可能性を指摘して、かかる部分は委任の範囲外であるとして適用を否定しているものである。具体的に判示では、以下のように、
「法人税法23条1項の規定が、支払法人の段階で課税済みの利益の配当について、これを受ける法人に重複して法人税を課すことを避けるために、また、同法23条の2第1項の規定が、源泉地国で課税済みの所得の配当に対して我が国が重ねて課税するという国際的な二重課税を排除するために、さらに、同法24条1項の規定が、法人の資本の払戻しの中に含まれる経済的にみて利益の配当と同一と考えられる部分について、上記各規定と同様の取扱いとするために、当該各配当の額及びみなし配当の金額(外国子会社から受けるものについては費用の額に相当する金額を控除した金額)を益金不算入としていることに鑑みると、同法は、利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当の額が、同法24条1項柱書きの「株式又は出資に対応する部分の金額」に含まれて同法61条の2第1項1号にいう有価証券の譲渡に係る対価の額として認識され、法人税の課税を受けることとなる事態を想定していないものと解される。したがって、同法の委任を受けて政令で定める上記「株式又は出資に対応する部分の金額」の計算の方法に従って計算した結果、利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当の額が上記「株式又は出資に対応する部分の金額」に含まれることとなる場合には、当該政令の定めは、そのような計算結果となる限りにおいて同法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であると解するのが相当である。
これを法人税法施行令23条1項3号の規定についてみるに、同号の定める計算の方法に従って「株式又は出資に対応する部分の金額」を計算すると、払戻法人の簿価純資産価額が当該剰余金の配当直前の資本金等の額を下回る場合(被告主張の別表2-1によれば、本件はこの場合に当たる。)、すなわち、当該剰余金の配当直前の利益積立金額が0未満(マイナス)である場合には、減少した資本剰余金の額を超える「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」が算出されることとなるから(別紙の最下段の算式参照)、当該剰余金の配当が資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とするものであった場合には、利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当の額が上記「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」に含まれることとなり、ひいては「株式又は出資に対応する部分の金額」に含まれることとなる。」

「 被告主張の別表2-1によれば、本件の払戻法人である■■■■の本件配当直前の資本金等の額(同表①欄)は2億1105万7771.56ドルであるのに対し、簿価純資産価額(同表⑤欄)は9768万4743.50ドルであり、後者が前者を下回るため、法人税法施行令23条1項3号の定めのとおりに計算すると、「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」(同表⑧欄)及び「株式又は出資に対応する部分の金額」(同表⑨欄)が共に上記直前の資本金等の額と同額の2億1105万7771.56ドルとなって、本件配当により減少した資本剰余金の額(同表⑥欄)である1億ドルを超えることとなるから、上記「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」(同表⑧欄)及び「株式又は出資に対応する部分の金額」(同表⑨欄)はいずれも上記減少した資本剰余金の額(同表⑥欄)と同額の1億ドルに修正されるべきこととなる。そうすると、本件配当の額のうちのみなし配当の金額(同表⑪欄)も5億4400万ドルに修正されるべきこととなり、本件利益配当の額と同額となる。」

述べ、二重課税の状況を排することを基本的な趣旨とする本件規定において、政令の計算規定はその趣旨に反する状況を生み出す可能性を備えていることを指摘している。利益剰余金の原資としての蓄積が少ない中において、双方を原資とする配当が行いうるものであるのか(そもそも、配当の源泉たる資金に色はついていないので可能ではあるのであろう)、という点は検討の余地があろうが、本文規定の趣旨と政令における計算規定の不整合を課題として認識しているものである。

この二重課税の排除という趣旨が如何なるものであるのか、どの程度の二重課税を排除すべきものであるのか、完全な排除を示唆するものであるのか、若干の部分は残しても差し支えないものであるのか等、あるいは国際的な二重課税とすでに課税された存在との二重課税を同列に扱っていよいのかというような検討は行われておらず、単にsンプルな二重課税を排除することをその趣旨としているという理解が判断の基礎になっているように評価される。かかる詳細な検討がかけている場合において、上記のように本文の委任の範囲から逸脱しているとの評価は如何なるものと考えるべきであろうか。正式には趣旨に反する状況が発生しうるという点が問題になっているものであって、委任の範囲に関する問題であるのかという点も問題となろうが、また、二重課税の排除も一律ではなく、幅がありうるものであり、かかる点に対して一定の裁量の幅があることも必ずしも否定されるべきものではなく、委任の範囲とその逸脱に関しては、租税法規の基本的な要請として白紙委任を禁じていることは明らかであろうが、その他、どの程度の委任の範囲を問題とすべきものであるのかという点は、租税法の重要な課題であり、かかる点からも貴重な事例であるように本件は捉えられる。

また本件では、問題となった配当は、双方を原資とするものとして、すなわち一つの配当であるかのように、という点を前提にして判断している。確かに法令解釈上は、双方を原資とする場合も含むことは租税法規の解釈として一定の合理性を有していることは否定し難いが、原告が主張するようにこれは別途の、個々の配当であり、これを一体として捉えることの是非がまずは問題であるようにも考えられよう。この点については判示では特に触れられていないが、また上記の外国法の概念とも関連することであるが、みなし配当の計算において、その対象となる配当を如何なる単位をもって捉えるべきであるのかという点は、検討されるべきであろう。法文上、かかる点に関しては、剰余金の配当とあるだけで、その単位を具体的に判断する手段は法定されていない。多様な配当政策が今日では想定されるところであり、この部分を明示することは困難であるとの判断とも考えられるが、私法上、その配当が許容されている場合において、租税法規において、かかる個々のような配当をひとまとめとして捉え直して、課税対象を決定することは法的安定性など保護を基本的な要請とすることで納税者の信頼を保護することを基本的な要請としていることから鑑みるならば、法的な性格、形式を離れた諸理を行うためには法的な根拠を必要とすると理解すべきであろう。剰余金の配当という文言は、特段の条件が付与されているものではなく、会社法の借用として、法的な個々の配当を原則として捉えるべきではないだろうか。確かに本件配当は同一日に行われた経済的価値の流入である。しかしながらこのような一定のタイミングとしての経済的価値の流入として配当を捉えていることは、いわば固有概念として、理解しているようにも考えられ、租税法規の原則的な解釈指針とは相容れないものである。まずはこの計算の対象となる剰余金の配当が如何なるものであり、かかる点からその原資が個々に特定され、計算されるべきものであろう。

以上です。毎度のごとく論文stockとして作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。