さて、また興が乗ったので、判例裁決紹介を作成しました。今回は、平成28年1月12日裁決で固定資産評価に伴う誤りを市区町村より通知された納税者が、これに基づく相続税評価額が過大となったとして課税庁に更正の請求を申し出たところ否認されたため、これを不服として行われた裁決事案です。
具体的には、請求人たる被相続人が相続により土地を取得した際に平成16年の固定資産評価額に基づき、相続税評価額を算出し、相続税確定申告をなしたところ、平成26年になってこの固定資産税評価額が過大であったことが判明し、これを理由として更正の請求をなしたところ、当然に通常の更正の請求を機嫌は超過しており、下記の、後発的事由に基づく、特に判決等が確定したことに基づき更正の請求をなしたところ、これが認められなかったため、提起された事案です。判断としても課税庁の判断を合理的と判断しています。
本件に関する本申告がなされたのは平成10年台であり、明らかに旧国税通則法のタイミングでの事案ではありますが、国税通則法の改正により、期限の延長は行われたとしても、基本的にこの後発的事由の解釈に関しては、準用されていると考えられるので、現時点でも意義も有するものであろうかと考えられます。特に今回は固定資産税の評価誤りが原因であり、相続後、その固定資産評価が誤っていることは3年に一回の評価替えのタイミングでしか基本的に認識され得ないものと考えられるので、今後の更正の請求における後発的事由の該当性においては、参考になるものであろうかと考えています。
国税通則法施行令23条
その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき その確定した日の翌日から起算して2月以内(第1号)
上記のように本件の解釈上の問題としては、判決及び判決と同一の効力を有する和解その他の行為、特に後者において固定資産評価誤りに対する通知が該当するのか否かが問題になったものである。
本件は改正前の事案に関するものですが、基本的に国税通則法において、この後発的事由に関しては、継続しているものと考えられるため(異論もありえます)、これを前提として考える。
そもそも、更正の請求において期限制限が求められていることと、この後発的事由に基づく請求の例外措置を認めている趣旨は、納税者の保護の観点から、一定の事実関係の変更に伴い、課税の基礎事実の変更に納税者の帰責性ないものとして、これらを保護する趣旨で、更正の請求に対する期間制限による課税関係の早期安定と執行の便宜のバランスで解釈されるべきものと考えられます。この点が特に更正の請求において期限の延長が認められた現状において、バランスの変化が認められうる可能性があるところではありますが、単に納税者の保護を求めているものではなく、一定の制限が図られていることに代わりはないものと考えられます。私見としては、申告納税制度を前提とする限りにおいて、このような期間制限とのバランスの観点から趣旨を理解することは合理的であると考えていますが、納税者に対して帰責性の有無まで求めるかどうかは法的な根拠がいかなるものであるのかという点からも議論の余地があるように考えられる。このような理解からは、まずはその文言の解釈において租税法の基本原則に則り拡張的な解釈は排除されるべきものと捉えられるかもしれません。この点では
具体的な解釈としては、判決という文言の意義に関しては、明らかであり、民事上の判決という司法判断、裁判所に基づく判決であることは、いうまでもないことであろうかと考えます。問題となるのは判決と同一の効力を有する和解その他の行為というmんごんです。かつて裁判例においても、この部分につき青色申告の取消処分等が対象となったこともあり、いかなる解釈が成り立つのかという点が問題です。判決の効力との同一性も問題である。
課税庁としては、課税要件に関する事実関係は非常に多様な性格を帯びており、この多様性から、単に事実関係の変更を考慮するのではなく、判決の文言を受けて司法判断、裁判所の介在を一つの要件として解釈して、本件の通知が判決等に含まれないものと判断して、更正の請求を退けているなぜ、裁判所の介在を要するべきかという点は、納税者の保護とのバランスから、あるいは合法性の原則から鑑みて妥当な判断とも言えますが、明示的に司法の関与、介在を本文から明らかということは困難とも評価できます。上記のように裁判例において緩やかにこれを介して、課税庁による処分もその対象に含んでいるような事案も存在し、この範囲が法解釈上問題と言える。
私見としてはその対象は、判決から考えて、その同一の効力を有するか否かという観点から判断されるべきであり、判決その他の効力をいかに捉え、その同一性を評価しているのかという点でこの判断は疑問を持ちます。また、法令においては、この判決等に対して課税標準等の基礎となった事実として一定の限界を付していることも着目されるべきでしょう。この基礎となる事実がいかなるものであるのかという点は、あまり問題とならないですが、必ずしもその範囲がいかなるものであるのかという点は定かではなく、議論されるべきものと考えるべき。
このように、法規の趣旨目的と規定ぶりから考えるに、判決等の意義は、その対象行為がいかなる性格を有するのか、その効力がいかなるものであるのかという点からから評価されるべきものであり、馴れ合い判決等の存在も考慮するならば、必ずしも裁判所の介入、介在のような形式的な判断過程ではなく、もちろん裁判所の介在が結果として法が求める効力の同一性を担保することになる可能性も高く、具体的な判断基準の一つとしては理解されうるが、まずはその対象がいかなる効力を有するのかという評価、行政法上の評価から判断されるべきものであるだろう。法令解釈によって判決との同一性をいかに求めるのかという基準が明らかにされるべきものといえよう。
この点が本件でも議論されるべきである。固定資産評価の見直しは、第三者である市町村長という一定の客観性が確保された行政機関による行為であり、国税に関する課税庁の判断ではないが、確定判決と同一の効力を有するものと評価することは必ずしも不合理であるとは言えない。立法論として対象としても問題は少ないのではないだろうか。少なくとも納税者にとって、国税地方税の区分、国と地方自治体の相違は大きな関心ではなく、納税者の予測可能性を考慮するならば、固定資産評価における訴訟レベルまで要求することは困難ではないか(少なくともこのような減額の通知が出た以上は訴訟において争うことは不可能である)。
現在のような更正の請求に関する期限の延長は図られた現在において、あえて、解釈上、従前よりも後発的事由を拡張して解釈する意義は乏しいとも考えられるが、相当期間の経過を伴うような立証は困難を伴うものであり、やむを得ない納税者に対する帰責性をもとに裁判所の介在や課税庁の判断に限定的に解するべきではなく、対象の効力を捉え、その判決との同一性を評価した上で、検討されるべきものであり、解釈の拡張性から問題が生じるのであれば、地方自治体の判断を限定的に列挙する立法措置があっても合理的ではないだろうか。
また、上記のように課税要件の基礎たる事実が多様なものである以上、限定的な列挙はかえって納税者の保護という趣旨を埋没する可能性も秘めている。この点からも解釈による範囲の確定が重要であり、私見としては、申告納税制度を前提とした納税者における帰責性の有無や担税力の減少に対する客観性の確保、対象判断の有する拘束性等の性格等から判断されるべきものだろう。
以上です。
毎度のごとく論文stockとして作成しているものですので、参考までに。裁決
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