さて、また興が乗ったので、判例裁決紹介を作成しました。
今回は東京地判平成27年12月15日で、
固定資産税評価において、
増築を行ったことに対する評価が問題となったものです。
判示では、納税者の請求を退けていますが、
具体的には原告が保有する建物に対して増築を行い、
ビルの屋上にプレハブ小屋を設置した場合において、
当該プレハブ小屋が独立の建物であり、
構築物として評価されるものであるとした原告が主張したのもので
あり、プレハブ小屋がビルと一体の建物であり、
増築に該当するものであるとして鉄筋コンクリートに基づく、
建物の一部であるとした課税庁が主張した事案です。
納税者の主張の一つには、増築部分としして判断した場合、
鉄筋コンクリートづくりの建物の評価がプレハブの部分にまで及ん
でおり、
鉄筋コンクリートと軽量鉄骨が同様の基準に基づき評価することは
不合理であるとしています。
増築であるかいなかがその問題として考えられる場合、たしかに、
その区分が問題となるべきでありますが、今回は、
実際のところその評価において、
増築部分と既存の建物を区分してそれぞれ製造材に基づき評価され
ています。その点で、
納税者の主張は大きく根拠を失っているところですが、実務上、
具体的な評価の実施において建材の区分は、
その評価に関わることを改めて認識すべきと言えるでしょう。
具体的な評価において建造費用を確定する上では、
重要になるものと評価できるでしょう。逆に言えば、
製造材の相違が重要は建物の区分において重要な基準となりうるも
のと言えるでしょう。
また、実際の評価において、用途区分が考慮されています。
具体的には事務所用と居住用と主に区分されています。
この用途に応じて評価における具体的な減点補正が行われることに
なりますが、この建物の用途に関しては、
実際複合的な用途である場合がありうるところであり、
その具体的な判断が問題となります。本判示においては、
複合的な用途である場合には、
主たる用途に基づき判断されうこととされているのですが、
これを如何にして主たるものとして判断するのかという点について
は、定かではありません。
法令解釈としてはこの主たるものについては、
固定資産税が不動産の利活用にその趣旨をおいていることを鑑み原
則として用地活用における面積基準が中心となるべきと解するべき
と考えられますが、当該面積につき、
如何に利用されているのか利用されている面積を確定するにあたり
、具体的な利用状況を総合的に判断するべきものと考えています。
また、
増築の有無を判断する際にも如何に判断されるべきであるのかとい
う点も法令解釈上問題となりえます。本件では、
ビルの増築であるのか、
単に別途構築されたものであるのかが問題となりましたが、
具体的に、
増築であるのか否かがいかにして判断されるのかという点は重要な
ものであると言えるでしょう。
そもそも家屋や、事務所用、
店舗用と言うかたちで用途区分を行っていますが、
それぞれいかにして判断されるのか、
その意義は必ずしも一義的であるといえるでしょうか。また、
その判断過程において、利用者・
所有者の意思に基づくべきであるのか、
それとも現況によるべきであるのかこの点も明確にするべきでしょ
う。
固定資産税が不動産に関する利用をベースに時価を判断する以上、
実際の利用状況を鑑みるべきであると解されるところです。
まずは、ビルとの定着性が問題とされています。納税者の主張は、
簡易的な設置であり、一時的なものであるとして、
定着性を否定して独立の建物である根拠としています。
家屋の一体性は、
最終的には総合的な判断に基づくことになるでしょうが、
設備の一体性や期間的な要素が中心的な判断要素として示されてい
ます。
期間的な要素がどの程度であるべきかは定かではないものの屋根等
による遮蔽や設備の一体性が固定資産における一体性を判断する指
標であることは揺るぎないものであるといえるのではないでしょう
か。
納税者の主張するように簡易的なプレハブであることは一体性を減
ずる要素であることは必ずしも否定できるものではないと考えられ
ますが、設置・撤去に関して一時的であるとの判断は、
主として利用者の意思に依拠することとなり、
客観的な裏付けが求められるべきものと考えられます。
何を持って一つの不動産であるとの判断は個々の資産類型によって
異なりうるものですが、
建物の一体性を判断する指標として本件における判断は意義を有す
るといえるものと評価されます。
以上です。
毎度のごとく論文stockとして作成しているものですので、
完成度は低いですが参考までに。
裁決
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