さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は平成29年6月21裁決で、納期限における突発的な体調不良が附帯税における正当な理由を構成するのかという点が争われた事例です。
具体的には、個人事業として飲食業を営む請求人が納期の特例を申請し、承認されていたところ、当該納付につきその法定納期限において、突発的な体調不良により、納付を行わなかった(1~6月文の源泉所得税を不納付、9月に納付)ことに対して源泉所得税の不納付につき、不納付加算税の賦課決定処分を受けた。この点について、法定納期限当日における突発的な体調不良によるものであるとして正当な理由がある旨の不服を申し出たものが本件である。周知のように、附帯税として不納付加算税を賦課が行われる場合において、宥恕規定として、正当な理由が存在する場合には、その不納付加算税の成立を図らないこととされており、かかる点は以下の国税通則法においても明記されているものである。個別具体的な事例ではあるが、法定納期限等の日における突発的な体調不良(具体的にどのようなものであるのか不明、また、陳述によれば、納期限が属する7月初旬及び当日は、一部自己の飲食店を営んでいたことが確認されている)において、もちろん程度差はあるものであろうが、通則法に定める正当な理由に該当するのかという点が中心的な争点であり、正当な理由とは如何なるものと解されるのかという点が起点となっているものであろう。しかるに不納付加算税の趣旨自身も問われるものであり、特に現徴収の納期の特例を受けているものでもあり(実務的には特例というよりも、ごく当然の行為であるのかもしれないが)、この特例の対比においても正当な理由として突発的な体調不良が該当するのかという点も対比されるものとなるのではないだろうか。従前、正当な理由としての該当性としては、多様な事例が存在する分野であり、本件もその類型に属するものであって、法令解釈として特段特徴的なものではないが、突発的な病気であっても(この詳細な状況は争われていないので、どちらかというと納期限付近の請求人の状況に関する陳述が決定的な状況であったようであるが、)、正当な理由としては該当性は可能性は低いもの評価、特に源泉徴収においては判断されることになるものと考えられる。
(不納付加算税)
第六十七条 源泉徴収による国税がその法定納期限までに完納されなかつた場合には、税務署長は、当該納税者から、第三十六条第一項第二号(源泉徴収による国税の納税の告知)の規定による納税の告知に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。ただし、当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
2 源泉徴収による国税が第三十六条第一項第二号の規定による納税の告知を受けることなくその法定納期限後に納付された場合において、その納付が、当該国税についての調査があつたことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないときは、その納付された税額に係る前項の不納付加算税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付された税額に百分の五の割合を乗じて計算した金額とする。
3 第一項の規定は、前項の規定に該当する納付がされた場合において、その納付が法定納期限までに納付する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合に該当してされたものであり、かつ、当該納付に係る源泉徴収による国税が法定納期限から一月を経過する日までに納付されたものであるときは、適用しない。
以上のように、本件における中心的な争点は本件の事実関係における正当な理由の当否である。過少申告加算税と比して同じ附帯税としても不納付加算税は、その成立、事象の発生自体はシンプルにその成立が観念されるものであり、法定納期限からの超過と言う事実の存在がその判断基準であり、比較的その判断が容易なものであって正当な理由の存在が観念できるのか否かという点が、不納付加算税の賦課決定における中心的な争点となる。本件判断における正当な理由としては、下記のように、
不納付加算税は、源泉徴収による国税が法定納期限までに完納されなかったとう客観的な事実があれば、原則として納税者に課されるものであり、これによって、法定納期限までに完納した者との間の不公平の実質的な是正を図るとともに、法定納期限までに完納すべき義務の違反の発生を防止し、源泉徴収制度の適正な運用の実現を図り、もって納税の実を上げようとする行政上の制裁措置である。この趣旨に照らせば、例外的に不納付加算税を課さないこととする通則法第67条第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」とは、法定納期限までに完納しなかったことについて、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、そのため、このような納税者に不納付加算税を課することが不当又は酷と評されるような場合であって、法定納期限までに完納した者との間の公平を損ねることになってもなお、その制裁を免除するのが相当である場合をいうものと解するのが相当である。
として、実質的な不公平の是正と制裁措置として実効性を確保することがその趣旨にあるものと解している。この点は従前の判例とも整合するものであり、特段特徴的なものではなく、納税者への帰責性と不当性が判断基準となっている。公平負担の確保を図るためであろうか、非常に限定的な状況に正当な理由を当てはめているものと評価される。特に納期の特例という、納期限の延長を許可されているものであり、納期限のタイミングと言うスポットの状況のみで納税者に帰責性がないものと評価することは、困難と判断されることになろう。
以上です。毎度のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。
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