2018年10月13日土曜日

判例裁決紹介(東京地判平成29年5月11日、税理士が関与した代表報酬の潜脱、関連会社を利用した架空経費の計上)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、東京地判平成29年5月11日であり、税理士が関与したほ脱、代取報酬の潜脱、関連会社を利用した架空外注費の形状等が問題になった事例です。

具体的に本件は、整備業を営む原告法人が、代取への報酬の架空処理として顧問税理士への報酬を計上し、また関連会社を利用した給与の架空外注費等が問題となった事例であり、査察調査によりほ脱犯として刑事事件としては確定している事案で、その課税処分に関する点が対象となっているものである。調査手続、各種費用の損金性等、多様な点が争点になっている事例ではあるが、基本的に事実関係が問題になっているものである。刑事事件としての処理も、想定されていたことから非常に詳細な事実認定が行われており、瑕疵のある申告やほ脱への対応方法を学ぶ上では、参考となるべき事案であろう。特にここの論点は一般的な事例であるものの、丹念に事実関係を整理し、法令の適用を行っている点は課税実務家として有益な事案ではないだろうか。

なお、本件は、ほ脱等において租税の専門家として高度の倫理的責任を負うているべき税理士が関与している犯則事件でもあり、自身名義の口座を貸出し、実質的な代取の報酬の振込先として活用させるなど積極的な関与が認定されている。専門家としての責任や倫理を如何に捉えているのかという点で、強く非難されるべき行為であると考えられる。

また、本件では関連会社を利用した架空経費、報酬の利用をもって雇用契約に基づく給与の支払いとして利用していたことが課題となっているが、なかでも、この関連会社における源泉徴収義務が原告法人に対してどのように影響するのかという点が問題となる。原告における課税処分としては、関連会社が実態がないものとして、その報酬及び源泉徴収義務が発生しているものとして処理されている。従って第三者である関連会社名義でなされた源泉徴収義務の履行が原告法人に帰属されるものとして取り扱われるのかという点が問題になる。判示はその代替性を否定している。かかる点は特殊な関連会社によるものであるが、源泉徴収義務の法的性格を表しているものといえよう。基本的には、代替や第三者による源泉徴収義務の履行を本来の源泉徴収義務者に変わるものとして捉えることは認められないものと考えられる。源泉徴収義務が徴収の便宜上、特別な責任を法によって担保しているものであり、その地位の変更は困難なものとして理解されることが源泉徴収の性格から整合的であろう。

以上です。
毎度の如く論文stockとして作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

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