2020年4月20日月曜日

判例裁決紹介(東京地判平成31年2月5日、農地等に関する相続税の納税猶予と農業経営の廃止)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、東京地判平成31年2月5日で、相続税の納税猶予特例における停止条件の農業経営の廃止があったのか否かという点が課題となった事例です。

具体的には相続人たる原告が被相続人より相続した農地につき、農地等における納税猶予の特例の適用を申請して、約2億円相当の納税の猶予を受けていた場合において、利用状況調査を行っていたところ、農業経営を廃止したものとして課税庁より納税猶予の停止を受けたことをもって実質的には納税猶予の対象となる農業経営は継続している(農業法人に承継している)としてかかる適用の継続を求めたものである。農地に関する納税猶予の規定は、意外と歴史がある(昭和50年代から)ものであるが、近年は、その20年の猶予期間が経過して、納税が実質的に免除された事例も多発しているものの、あわせて、このような農業の継続が実質的に行われているのか否かという点が課題となった事例が増加しつつある。本件はかかるような農業経営に関する廃止しているか否かという点について具体的に判断した、特に農業経営法人を設立して、そこに農業を継承させているような状況に対して詳細な事実認定を行い、農業経営の廃止を判断している事例であり、実務的にも今後の参考となるべき事例であろう。特に近年は、このような事後管理を含む制度を含む納税猶予制度が事業承継など多様な局面に対して(そもそも事業承継が重要な課題として認識されたのは、つい最近だが、近年の状況からは、特に我が国の少子高齢社会を前提とするならば、今後もより重要性が増すのみだろう、実際個人事業にも適用されつつある)、事業等の廃止は最大の猶予の停止条件であり、かかる点の管理、サポートは租税専門家においても重要な課題であろう。本件はかかる点を再認識する点で、より重要なものであろう。農地に関わらず、事業の廃止を判断する際にも実質的な継続が認められるものであるのか(法人格の利用など)という点を検討する点でも重要な事例であろう。


農地等についての相続税の納税猶予及び免除等)
第七十条の六 農業を営んでいた個人として政令で定める者(以下この条において「被相続人」という。)の相続人で政令で定めるもの(以下この条において「農業相続人」という。)が、当該被相続人からの相続又は遺贈によりその農業の用に供されていた農地(特定市街化区域農地等に該当するもの及び利用意向調査(農地法第三十二条第一項又は第三十三条第一項の規定による同法三十二条第一項に規定する利用意向調査をいう。第一号において同じ。)に係るもののうち政令で定めるものを除く。次項第一号を除き、以下この条において同じ。)及び採草放牧地(特定市街化区域農地等に該当するものを除く。同号を除き、以下この条において同じ。)の取得(前条の規定により相続又は遺贈により取得したとみなされる場合の取得を含む。第十九項から第二十一項までを除き、以下この条において同じ。)をした場合(当該被相続人からの相続又は遺贈により当該農地及び採草放牧地とともに農業振興地域の整備に関する法律第八条第二項第一号に規定する農用地区域として定められている区域内にある土地で農地又は採草放牧地に準ずるものとして政令で定めるもの(以下この条において「準農地」という。)の取得をした場合を含む。)には、当該相続に係る相続税法第二十七条第一項の規定による期限内申告書(以下この条において「相続税の申告書」という。)の提出により納付すべき相続税の額のうち、当該農地及び採草放牧地並びに準農地(政令で定めるものを除く。で当該相続税の申告書にこの項の規定の適用を受けようとする旨の記載があるもの(当該農地及び採草放牧地については当該農業相続人がその農業の用に供するもの(第九項の規定に該当する農業相続人にあつては、その推定相続人の農業の用に供するものを含む。)に限るものとし、準農地については当該農地又は採草放牧地とともにこの項の規定の適用を受けようとするものに限る。以下この条において「特例農地等」という。)に係る納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、当該相続税の申告書の提出期限までに当該納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合に限り、同法第三十三条の規定にかかわらず、納税猶予期限(当該納税猶予期限前に、その有する当該特例農地等の全部につき第七十条の四の規定の適用に係る贈与があつた場合には、当該贈与があつた日とし、当該特例農地等の一部につき当該贈与があつた場合には、当該特例農地等のうち当該贈与があつたものに係る第三十九項第三号に定める相続税については当該贈与があつた日とし、当該特例農地等のうち当該贈与がなかつたものに係る第四十項第五号に規定する政令で定めるところにより計算した金額に相当する相続税については当該贈与があつた日から二月を経過する日(同日以前に当該農業相続人が死亡した場合には、当該農業相続人の相続人(包括受遺者を含む。以下この条において同じ。)が当該農業相続人の死亡による相続の開始があつたことを知つた日の翌日から六月を経過する日。以下この項において同じ。)とする。)まで、その納税を猶予する。ただし、当該農業相続人が、その納税猶予期限又は当該贈与があつた日のいずれか早い日(以下この条において「死亡等の日」という。)前において次の各号のいずれかに掲げる場合に該当することとなつた場合には、当該各号に定める日から二月を経過する日まで、当該納税を猶予する。
一 当該相続又は遺贈により取得をしたこの項本文の規定の適用を受ける特例農地等の譲渡、贈与(第七十条の四の規定の適用に係る贈与を除く。)若しくは転用(採草放牧地の農地への転用及び準農地の採草放牧地又は農地への転用その他政令で定める転用を除く。)をし、当該特例農地等につき地上権、永小作権、使用貸借による権利若しくは賃借権の設定(当該特例農地等につき民法第二百六十九条の二第一項の地上権の設定があつた場合において当該農業相続人が当該特例農地等を耕作(農地法第四十三条第一項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。以下この条において同じ。)又は養畜の用に供しているときにおける当該設定を除く。)をし、若しくは当該特例農地等につき耕作の放棄(農地について農地法三十六条第一項の規定による勧告(当該農地が農地中間管理事業の推進に関する法律第二条第三項に規定する農地中間管理事業の事業実施地域外に所在する場合には、農業委員会その他の政令で定める者が、政令で定めるところにより、当該農地の所在地の所轄税務署長に対し、当該農地が利用意向調査に係るものであつて農地法第三十六条第一各号に該当する旨の通知をするときにおける当該通知。第十二項第二号において同じ。)があつたことをいう。同号及び第十二項第三号において同じ。)をし、又は当該取得に係るこの項本文の規定の適用を受けるこれらの権利の消滅(これらの権利に係る農地又は採草放牧地の所有権の取得に伴う消滅を除く。)があつた場合(第三十三条の四第一項に規定する収用交換等による譲渡その他政令で定める譲渡又は設定があつた場合を除く。)において、当該譲渡、贈与、転用、設定若しくは耕作の放棄又は消滅(以下この条において「譲渡等」という。)があつた当該特例農地等に係る土地の面積(当該譲渡等の時前にこの項本文の規定の適用を受ける特例農地等につき譲渡等(第三十三条の四第一項に規定する収用交換等による譲渡その他政令で定める譲渡又は設定を除く。)があつた場合には、当該譲渡等に係る土地の面積を加算した面積)が、当該農業相続人のその時の直前におけるこの項本文の規定の適用を受ける特例農地等に係る耕作又は養畜の用に供する土地(当該農業相続人が当該相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち準農地で農地又は採草放牧地への転用がされたもの以外のものに係る土地を含む。)の面積(その時前にこの項本文の規定の適用を受ける特例農地等のうち農地又は採草放牧地につき譲渡等があつた場合には、当該譲渡等に係る土地の面積を加算した面積)の百分の二十を超えるとき その事実が生じた日
二 当該相続又は遺贈により取得をした特例農地等に係る農業経営を廃した場合 その廃止の日

以上のように本件は上記の農地等にかかる納税猶予の特例が課題となった比較的珍しい事例である。上記のように法文は、納税の猶予、最終的には納税が免除されるような非常に有利な租税特別措置である以上致し方ないものであろうが、詳細な要件が付与されているものであり、そもそも読解に苦しむ法文であるものであるが、本件で課題となるのは、対象となる農業相続人(本件では原告)が、従来農業を継続していたところ、農業法人を設立(役員は原告)し、当該農地を含む農業に関わる事業資産をすべて譲渡(出資も含む)して、もって法人が主体となって農業を継続していた(この農業が継続している点については争いはない、近年の事例では、桜の木を植えていたなどそもそも農業であるのかという点が課題となるものも存在しているが本件ではこの点は課題となっていない)当該法人には従業員等はおらず、役員たる原告が農業を実施している状況にあって、農業法人が農業収益も帰属させており(一部農地等を売却賃貸したのは錯誤があるとの主張もあるが、数年間法人の収入として申告しており、地代を受け取って個人の所得として申告している点で錯誤は認めがたいだろう)、農業相続人たる原告が農業を継続しているとは認めがたいという点が問題の中心となっている。原告が税理士事務所にかkるような農業法人が関与することが認められるのか問い合わせをしている点があるがこの点は専門家責任として課題となるのであろうが(このような長期間に渡る事後管理の必要性が近年の制度においては重要な点になっていることは認識されるべき)、本件ではこの点は課題となっていない。

農業を営む個人等)

70の4-6 措置法第70条の4第1項に規定する「農業を営む個人」とは、耕作又は養畜の行為を反復、かつ、継続的に行う個人をいう。したがって、個人が耕作若しくは養畜による生産物を自家消費に充てている場合又は会社、官庁等に勤務するなど他に職を有し若しくは他に主たる事業を有している場合であっても、その耕作又は養畜の行為を反復、かつ、継続的に行っている限り、その者は農業を営む個人に該当する。
現行法の解釈としては通達は、上記のように、農業を耕作等を反復継続している個人として理解している。農業経営という用語と農業を営む個人という用語を同意義に解しているものとして理解されるが、耕作等の実施が中心になった判断が示されているようにも理解される。法が個人と明確にしている以上、同族会社であるとはいえ、法人格をベースとした農業法人を個人として理解して実質的な継続を認めることは、民事法の解釈ならともかく、厳格な文理解釈が要求される租税法規の解釈において採用しうるのか疑問ではある。蓋し、少なくとも個人という表現をいわば拡張的に理解する本件は、このような判断は農業相続人の行為、耕作等に着目した判断をベースとするものであるだろう。しかしながら、法文が農業経営としている点を鑑みるならば、単に耕作の状況に依拠するのではなく、所得・収益の帰属もより重視されるべきではあろう。かかる点で本件では制度趣旨を反映させ(租特である以上当然であろうが)、幅広い点を考慮した判断を提示している点は合理的であろう。特に多様な状況が想定される事業などにおいては、単に農業を継続しているとした耕作等の行為に着目して判断を行うことはかえって、租税負担の回避など、課題を生むことになろう。農業や事業を継続することが中心となっている制度であるが、単なる趣味的な状況であっても制度適用がなされることは、法が結果として納税の免除を伴うようなものである以上、趣旨に反するものであり、収益の帰属など、農業を経営すること、反復継続している状況が前提となるべきであり、営利性を含むものとして理解するべきではないだろうか。


当該農地を利用して永続的に農業を継続していこうとする農業者による相続税の納付を困難とするものであり、実際に、上記原則を貫くことにより、農業を継続する意思を持ちながらも、相続税の納付のために農地を手放さざるを得ない事態も生じるようになった。農地等納税猶予制度は、このような状況を踏まえ、昭和50年1月1日以降の相続又は遺贈によって取得する農地等に対する相続税について適用 することとされた特例であって、①相続人が、相続税の申告書の提出期限 までに農業経営を開始し、その後も引き続き当該農業経営を行うと認められる者であることを要件として、その農業の用に恒久的に使用される農地等に対する相続税額のうち、その農地等の恒久的な農地等としての価格(農業投資価格)を超える部分(いわば宅地期待益部分ともいうべき価額部分)に対する相続税の納税を猶予するとともに、②当該農地等につき、次の相続若しくは農業後継者に対する生前一括贈与又は相続税の申告書の提出期限から20年間の経過があって、それまでの間、農地等納税猶予の適用を受けていた場合は、その猶予されていた相続税の納税を免除する
の農地等納税猶予制度の趣旨や、同号の規定の「農業経営」という文言に照らせば、農業相続人が農業経営を廃止したか否かは、農地の使用状況、耕作作業の管理・態様、生産物の販売状況、生産物の売上げの帰属状況等を総合的に考慮して、農業相続人の事業としての農業経営を廃止したと評価することができるか否かによって判断すべき」

なお、本件のような同族会社を活用した、いわば法人成りのような行為は、特段珍しいものではないが、これを活用した租税回避が従来問題とされながらも、同族会社の行為計算否認のような特別な規定を要求している現状は法が法人格を有する法人と自然人を明確に分けていることの証左であり、よくこのような法人の濫用的な活用は避難されるが、本件はいわば逆に、法人格を活用しながらも実質的に個人としての継続を求める(実質的には個人)主張であるが、いずれにしても法人と個人は厳格に峻別されることになることは留意されるべきであろう。すなわち、詳細な事実認定と総合的な判断を行っているが現実的に法人の役員従業員としての耕作等の継続を個人の継続として判断することは困難であろうと判断すべきである。

以上、毎度のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

2020年3月30日月曜日

判例裁決紹介(平成30年5月13日裁決、生命保険契約の承継と相続財産)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、平成30年5月13日裁決で、実質的に権利承継が限定されていた生命保険契約の承継が相続時に行われ、もって相続財産を構成するものであるのかという点が争点となった事例です。

具体的には、相続人たる請求人が被相続人が締結した生命保険契約(保険者及び受取人が被相続人であり、被保険者が請求人等の請求人ではない、契約時に一括で約2000万支払い、相続時はまだ保険事故は発生しておらず、相続発生後、あまり期間をおかずに保険期間が満了となり、保険金が支払われ受領者は贈与税を支払っている)が相続財産に含まれていることを知らなかった請求人が、かかる生命保険(実質的には、財産受渡しの指定、課税を回避する意図を有した養老保険であると認識するのが妥当であり、純粋な生命保険契約と評価することは、妥当ではないだろうが)契約が、相続財産に含まれることが不当であるとして、提起した事例である。契約の存在を知らず(請求人が結婚後実家に寄り付いていなかったことなどが遠因であろうが)、実質的に相続タイミングではかかる不知から権利承継が実質的には承継していない、あるいは、相続時には、かかる点から財産価値が付与されるものではない(財産評価がゼロ)であるとして、本件申告による相続税の対象となる相続財産の範囲に当該保険契約を含んでいることを問題視しているものである。

相続税の申告において、最も重要かつ基礎的な点は相続財産の把握であるが、本件は典型的な論点であり、よく活用される保険契約の存在について、利害関係者となる相続人の一部が、かかる財産の不知と基礎として、実質的に権利行使を行うことができないものに対して課税されることに納得が行かないような状況は、至極当然に発生するものであろう(この契約の受取人、保険者がどのような対象であるのかなどより詳しくは、実務家に聞いてみたいところ)。かかる点において、本件は、保険契約に関する特殊な事実関係が基礎となっているものとしても評価できるものであるのかもしれないが、そして、法令解釈としては、特段特徴的なものではないものであるが、相続というタイミングにおいて一切の財産を課税対象とすることで発生する課題を端的に認識する上で、また、単純な相続税、相続財産の把握という点のみならず、家族間の日頃のやり取りまでもが検討課題となるという点を理解する上で専門家にとっても重要な事例であるように捉えられる。上記のように本件の起点はあくまでもかかる契約のような相続財産に属する契約の納税者が不知であるというシンプルな点が起点となっていることはより認識されるべきであろう。

(相続税の課税財産の範囲)
第二条 第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する。
2 第一条の三第一項第三号又は第四号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産でこの法律の施行地にあるものに対し、相続税を課する。

以上のように本件は、相続税法2条における相続財産の範囲が課題となっている。相続のタイミングで一切の財産を対象としていることは、法令上明らかであり、法解釈としては、特段争いはないものであろうが、財産という部分において、本件のような事実関係では、実質的には、財産としての価値を受益していないことが課税とのバランスが取れないことを問題の背景としているのであろう。財産を受け継ぐことを相続税の課税根拠としているという認識であれば、実質的な財産的価値が認識されないような契約の承継を行っている点が課税対象としていることと矛盾していると考えても無理はない。一般的な理解としてはこのような財産的な価値の受領が相続税の課税根拠として認識されているのであろうが、このような遺産取得税的な発想は基本的な趣旨としては必ずしも貫徹されていないことが我が国の相続税制の基礎にあるのであろう。本件なあくまでも契約の不知というような主観的な事情が背景にあるものであり、法規としては相続におけるタイミングにおいて一切の権利義務を承継するのであるからという、一種の機械的な判断から納税者の主張を排斥して課税を肯定している。確かに民法は相続の一般的効力として、

(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

上記のように一切の権利義務を承継するものであり、被相続人に帰属する財産であれば、例外なく相続することを定めている。この点を鑑みれば、上記のように、不知であることを理由とした課税は相続税法の問題というよりも相続法の問題として受け入れがたいものであるとの判断されることとなる。かかる点で本件は相続税法というよりは民事法の問題であると捉えることもできようが、租税法規の立場としては、特に租税負担を課し、財産権の保護を侵害するという点からは実質的な受益がない状況を前提とした課税を構築することは反対意見を持つものもあり得よう。私見としては相続法が上記のように、定めている趣旨がいかなる所以にあるのかという点も考慮されるべきであろうし、相続税制が必ずしも取得税を貫徹しているものではない、また遺産税という点でもないことを基礎とするならば、本件の判断のように不知を考慮することは、主観的な事情を反映させることになり、不安定な課税を招くものであって、妥当と評価すべきではないものと考えられる。法令解釈としても相続税の対象として実質的な受益を条件としているとの趣旨を読み込むことはかえって主観の介在する余地を残すものであって安定性を損なうものと考えている。

但し、本件では、相続のタイミングの財産的価値の存在を問題ともしている。本件のように、相続が発生した後の事情、例えば相続人が管理不能であって財産的価値が把握されないような、相続後の事情を反映させることができるのかどうかという点は、また検討課題となるだろう。相続税が相続という一点のタイミングを基礎としている、あるいはフィクションとしてこのタイミングを基礎としている制度構築から、やむを得ないものとしても捉えられるところであるのかもしれないが、相続から申告においては一定のタイムラグ、あるいは後発的な事情の発生によって財産的価値の喪失が考慮されることは制度上も一定の考慮がなされていることは含むべきであろう。私見としては本件のように納税者の不知のような帰責性が認められるような事情においてまで後発的な事情として認識することは、現行法としては想定外というべきと考えられるが、近年の相続を取り巻く環境から肯定する意見も考えられるのかもしれない(この点では立法論として検討課題というべきかもしれない)。すなわち財産価値の変動や突発的な相続の発生、我が国の相続の事情等を考慮すれば、上記のように事後的な考慮を拡張的に考えることは一定の理解が得られるのかもしれない。近年の異常事態であるとの認識が見解にも影響している(本来ならばこのような異常事態を前提とした議論は論理的ではないのであろうが)、税制が必ずしも論理のみで構築されているものではないという認識が生まれたときから租税の世界にいる身としては拭い難い以上、本件のような受益を前提とした相続税に対する主張は基底にあるものとして認識されるべきではないだろうか。

以上です。毎度のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。


2020年3月23日月曜日

判例裁決紹介(令和元年6月20日裁決、取締役の不正行為と法人における重加算税)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は、令和元年6月20日裁決で、取締役の横領等の不正行為による架空費用の計上が法人における重加算税の賦課対象となりうるのかという点が争われた事例です。

具体的には法人たる請求人が法人税の確定申告において損金として計上していた営業協力費、外注費等に関して、専務取締役(利益の7割を稼いでいる)たる者がなした取引先に内容虚偽の架空請求書を作成させ、もって金員を搾取した行為によるものであるとして、調査により、かかる行為は仮装隠蔽に該当する行為であるとして重加算税が賦課決定をなした処分につき不服を申し出ているものである。かかる行為は取締役個人が行った不正行為であり、当該専務は経理や申告等の業務を職務として担当しているものではないとして、法人の行為ではなく、取締役の責任であって重加算税の対象となることを問題視しているものである。実質的には法人も当該役員の被害者であり、損害賠償請求や、求償の問題となるものであるが(この点について、その計上に関する課題は、異時、同時など、固有の論点として従前存在しているが)、この横領行為により、被害を受けた上で更に、租税負担として非常に重い税率となる重加算税を賦課されることに納得が行かないという素朴な思いが起点となっているものであろう。この種の事案は、多様な事例が存在するものの、本件もその類型として、如何にして法人の行為と実際の行為者が同一視されるものであるのかという点が事実認定として課題となるべき事案である。法令解釈上特段特徴的なものではないが、納税者が主張するように、課税処分に関連する申告行為等に限定したものを対象として捉える法令解釈を否定して、対象範囲を比較的幅広く理解して、重加算税の対象としている点は従前と整合的な判断であろう。

(重加算税)
第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

以上のように、本件の中心的な争点は法人という集合体、組織体としての存在において、上記のように、納税者とのみ法令が規定している状況においてこれを如何に解するのかという点が課題となる。判断は、以下のように重加算税の基本的な趣旨から納税者の範囲を解している。通常、納税者という文言に忠実に理解すれば、実際に納税申告を行う者に限定されるという解釈も自然と言えようが、本件では、基本的な趣旨から一定の拡張の余地を認めて、法人の場合は、地位と権限を有すること及び、法人の行為と評価できるものであるのか、という観点を基準として、判断を行うこととしている。この点は、下記のように、納税者の主張として主観的責任を制限するものであるとの主張(そもそも主観的な責任というものがどのようなものであるのかという点は定かではないが)を排斥している。

私見としても重加算税の対象たる仮装隠蔽行為を虚偽の申告のみではなく、架空経費の計上なども対象としている以上、行為者を限定的に理解することは、困難であると考える。法人が集合体としての性格を有する以上、一定の役員や従業員の行為を法人とかけ離れた行為として評価していくことは、些か法令の趣旨に反するものと言えよう。実質的にも法人の多数を占める中小企業の構造を鑑みれば、個人の行為と組織の行為を切り離すことは難しいと捉えるべきである。また、重加算税が制裁的な性質を持つことは否定されないが、あくまでも、刑事罰とは異なるものであり、明確に対象範囲を限定することは申告納税を支える公平性の点から過度に限定しているものと判断される。

「重加算税の税率は、他の加算税の税率より2倍以上高いこと、通則法第68条第1項は、他の加算税の規定(第65条ないし第67条)と異なり、その課税要件である隠蔽又は仮装の主体を「納税者」と明示していることなどからすれば、重加算税は納税義務違反の発生を防止し、納税の実を上げようとする趣旨のものであることは当然として、納税に関して隠蔽又は仮装という反社会的、反道徳的な不正行為を行い、納税を免れようとした者に対する一種の制裁的規定の性質も有するものといえる。したがって、通則法第68条第1項に規定する「納税者」は、基本的に納税者本人(法人の場合は、その代表者)を指すものと解される。しかしながら、法人における事業活動、経済活動は、一般的に組織的活動として行われ、その活動に複数の人間が有機的に関与することが多いことは周知のとおりであり、現実には、組織に所属する複数の者がそれぞれの部署において一定の権限を与えられ、その権限と裁量に基づき、法人としての有機的な事業活動を担っているのが常態であるといえる。法人が納税義務者である場合、その「納税者」とは、代表者個人ではなく、代表者を頂点とする有機的な組織体としての法人そのものであるから、法人の意思決定機関である代表者自身が隠蔽又は仮装を行った場合に限らず、法人内部において相応の地位と権限を有する者が、その権限に基づき、法人の業務として行った隠蔽又は仮装であって、全体として、納税者たる法人の行為と評価できるものについては、納税者自身が行った行為と同視され、通則法第68条第1項の重加算税の対象となるものと解するのが相当である。」

以上、上記のような判断では、法令解釈として拡張的な意義として理解され、下記請求人の主張を棄却している。重加算税が他の附帯税よりも非常に高率な税負担を課していることを重視するならば、一定の限定的な判断も理解されるところであろう。納税者が被害者であることも考えれば衡平とも考える意見もあり得る。

「重加算税制度は、悪質な納税義務違反の発生を防止することを目的とし、納税者に対し主観的責任を追及することを趣旨とする制度である。 そして、重加算税の賦課は、納税者本人による隠蔽又は仮装を要件としているところ、別人格である自然人の行為を納税者の行為と同視する旨の法令の規定は存在しないのであるから、両者の行為を同視することはできず、身体のない法人に重加算税が課されるのは、別人格である自然人の行為をもって重加算税賦課の要件事実、すなわち納税者による隠蔽又は仮装があったと規範的に評価できる場合に限られる。」

「具体的にいうと、納税者が法人の場合については、現実に組織として行う法人の申告納税を適正に執り行うべき者が、過少申告の認識があるかどうかまでは問わないとしても、その行為の意味を理解しながら隠蔽又は仮装を行った場合に、悪質な納税義務違反を納税者(法人)が行ったものと評価され、主観的責任の追及としての重加算税が課されるものである。 上記「現実に組織として行う法人の申告納税を適正に執り行うべき者」とは、典型的には、法人の納税申告の最終責任者としての代表者のほか、経理や申告手続を行う者として法人内で権限を有する経理責任者と経理責任者の下で経理や申告手続事務を実際に行っている担当者をいうと解すべきである。」

なお、本件で示された法人の行為と同視されるか否かの基準として権限と地位を重視している。但し、名目的な地位の名称ではなく、実質的な権限の存在、外形的な取引、取引先の評価を中心とした認定を行っていることは留意されるべきであろう。外部との取引における権限を基礎とすることで、法人の行為としての同質性を図る上で、客観的な担保を求めていることは事実を評価する上で、重要と理解されているものと理解される。

以上です。毎度のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

2020年3月16日月曜日

判例裁決紹介(東京地判令和元年5月30日、給与の仮装と役員給与)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は東京地判令和元年(ついに令和の判例も扱うようになりました)5月30日で、従業員に対して支給した給与が仮装であり、内縁関係者への個人的な生活保障の支給であって、もって代表者に対する役員給与であるとして否定された事例です。

具体的には法人たる原告が損金として計上した従業員(元恋人、内縁関係)に対する給与(約45万、定額で手取り額を社会保障等から調整して一定額に)に対して調査によりかかる給与は仮装であって労務の提供ではなく(実際には労務の一部提供は認められているが、生活保障等のものとして認定)給与として支給していることは仮装であり、原告代表者が本来給付するべき支出の代替であってもって役員給与に該当するとして認定され、更正処分を行ったことに対して、勤務の実態が存在し、また一定の業務を行っており支給した給与全額が否認されることを不服として提起された事例である。

基本的に、事実関係の問題として、準配偶者的な存在(あえてこう書きます)が行う労働に対してどのように評価するのか、という点が中心的な争点であり、法令解釈としては特段問題となるものではないが(ある意味現代においても事実関係として、このような関係が存在していることを興味深く眺めるものでしょうか)理由附記等において一部、法令解釈上課題となっている部分もある。いずれにしてもこのようなガバナンスなどが課題とされる現代においてもこのような準配偶者的な存在への法人からの給与支給(正直、昭和かとも思いますし、実際このような給与否定の問題は、かつては多い事例であったようですが、最近は珍しい・・・おそらくは実際の現場では特に珍しいものではないのかもしれませんが、どちらかというとこの種の問題は相続におけるタイミングでの問題に移ってきている印象で、これも高齢社会でしょうか、また現場レベルでこのような話があれば教えて下さい)が従前と変わらず、中小企業においてガバナンスが機能しているものではなく、中小企業の実情として、相変わらず法人税法の具体的な想定が変わらないところであるということも示唆している事例であろう。すなわち代表者や一部の個人に法人の運営や決定が委ねられるものであり、コントロールが機能しているものではない(実質的には個人事業であることと大差がない)ような実態を典型的に表しているものと捉えられる。起業や中小企業においては、このような代表者にその権限等が集中することはある意味当然とでもいえることで、これが必要とされるエネルギーを生み、より拡張していく原動力となるものであり、企業の継続性とのバランスであるように考えるべきものであるのかもしれないが、我が国の場合は、特にこのような租税の局面では私的な費用との未分化がより強調され、より社会的な意義、貢献として企業の拡大等へつながらない、一定のラインにとどまるような法人の状況が認識されるものと考えられる。比較的俗な金銭部分に関わる租税関係分野の特徴も捉えられるのであろうが、このような個人との未分化の法人と個人の事業におけるバランスが今後の法人課税の一つの問題として取り扱われるだろう。おそらく、租税回避の手段として事実上使用されている法人の存在をどのように捉えるのか、中小法人に対する扱いをどのように調整していくべきであるのかという点が法人税の大きな課題となってくるものと考えられる。そもそも中小企業を大規模法人を同レベルのものとして取り扱うこと自体が非合理であり、もって大規模法人の制約になってきていることは現状の認識であろうし、個人のワーカー(ジョブ型の勤務が進展すればこのような存在がより顕在化するだろう)が増加していく現状を前提とすれば、このような法人を一律に捉えることは現状にそぐわないものと考えるべきであり、起業の拡張との衡平の視点からの検討もあろうが何らかの立法措置が必要(おそらく消費税の適格請求書導入とあわせて)だろう。

本件は一部勤務の状況が認められる(書類の受け取り等の一般事務が認められるが、勤務先が法人ではなく居住用家屋、肩もみなどの業務などを行っていると主張されている、使用している車両のリース費用も含む給与金額であるなど家屋、かつての同棲していた場所となっているなど勤務としての推測が困難な状況も多い。そもそも一般社会通念において40万円を超える月額給与を支払うものとして評価される職務内容であろうか)ものの租税法規の適用評価において、給与としての実態を認めず、内助の功として事実上、法人代表者が負担すべきものとして事実認定を行っている。現代の社会情勢において内助の功を評価する、生活保障というような存在を認定し、金銭支給すること自体も議論を呼ぶものであるものと言えようが、実態をどのように評価するのか、租税法規の適用においては実質を評価することは不可欠であるので事実関係に即した判断であろう。このような事実認定は近年においても存在する個人事業と類似した法人運営における、家事費的費消の取り扱いを検討する上で参考となろう。

法人税法130条
3 内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
4 前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。
以上、本件は、上記法人税法34条における役員給与における仮装隠蔽に当たる役員給与に該当するのか否かという点が中心的な争点となっている。一般的な事務を一部といえども担っていたことは、判示でも認めているが、下記のように非常に軽微なものとして認定している。ここに役員給与の仮装を認定する根拠としている。

「その一部に原告の業務といえるものが含まれていたとしても、家庭の主婦が夫に頼まれて行う事務の範囲にとどまる軽微な内容のものにすぎない。」

さらに、下記のように、内縁の妻の行為として評価して、内助の功としての作業にとどまるもの(このような表現は内助の功を不当に低く評価するものとして異論もあろう)として、雇用契約に基づく職務としての評価はできないものと判断している。
本件はかかる判断が社会通念にしたがって、妥当性を有するのかという点で安定性を欠く判断とも指摘されうるところでもあろうが、特に、原告の主張はこの種の主張においてよく見受けられる創意工夫に満ちた職務のため気持ちよく仕事ができるように、サポートしていたという主張がなされているが、当該従業員と代表者の関係性が基礎となった判断を覆す主張とは評価されていないものと考えられる。金額の相当性の問題として業務内容を問うことはあり得ようが、あくまでも従業員への支給の根拠が職務として雇用に基づくものであるのかという部分が重要な争点となっているものであり、事実上納税者に立証責任が転嫁されているものと言えよう。この種の転嫁は近年の訴訟において珍しいものではなく、職務として評価されるものであるのか、という部分において、単なるサポートなどのようなものではなく、サポートとしての必要性が明らかにされるべきであり、更には、提供者との関係性もまた、検討されることになるだろう。社会通念に従った判断は租税法規の領域としては予測可能性という点で不安定であるとの評価は異論はないが、申告納税の基本的趣旨を鑑みこのような必要性や業務との関連性がより必要されるものと判断されよう。

「自宅で仕事をする夫を支える内縁の妻としての行為であるというほかなく、これを■■自身が原告の従業員として行った業務と評価することはできないものである。原告
は、原告代表者が建設用機械の構想を練り、設計をするという創意工夫に満ちた仕事をしていたものであり、■■は原告代表者が気持ちよく仕事ができるようにサポートをしていたと主張するが、そのような原告代表者の仕事の性質や■■の貢献を考慮に加えたとしても、■■が行っていた活動がいわゆる内助の功に他ならないものであるとの上記評価が左右されるものではない。」

このような判断から、本件は、本件給与を役員給与であると認定して、帰属先を役員であるとしている。上記法人税法34条4項において、給与概念として、一般の判断を超えて、より広範囲に対象とすることは解釈の余地がなく、この中に本件も該当するとの判断である。経済的利益という部分は些か曖昧なものであるが、本件のように、例示の債務免除とは経済的利益の付与が法律の裏付けが必ずしも存在せず、直接的ではない(法的な夫婦ではない、このような内助の功への支給は法的な背景を有するものでは必ずしもないだろう)ものであっても役員が個人的に負担すべきものと評価している点は本件の特徴的なものであろう(経済的利益の範囲を非常に広く判断する枠組みだろう)。このような経済的な利益は、純粋な所得の帰属というよりは、法人が負担する所以があるのか否かという視点が強調されているものと考えられる。なお、本件では納税者たる原告が主張する金額ベースにおいて全額を否定している処分ではなく、一部の妥当性を認めるべきであるとの主張は顧みることは行われていない。業務内容自身が曖昧で管理がなされておらず、職務との因果関係を判断する材料に乏しかったのであろう。

2 税務署長は、内国法人の提出した青色申告書又は連結確定申告書等に係る法人税の課税標準又は欠損金額若しくは連結欠損金額の更正をする場合には、その更正に係る国税通則法第二十八条第二項(更正通知書の記載事項)に規定する更正通知書にその更正の理由を付記しなければならない。

また、本件では、青色申告における理由附記に関して、如何なる程度であるべきであるのかという点に関して、以下のように判断を行っている。国税通則法の改正や行政事件訴訟法改正により不利益処分における理由提示の適用を国税の処分においても対象とされた事により、国税の処分における理由附記は如何なる程度であるべきであるのかという点は、新たな議論が必要とされるものとして検討が存在しているが、本件のように、青色申告における帳簿記載を否定した処分における理由附記の程度は、一般的な行政事件訴訟法とは異なるものと認識されているものと解されている(但し、原告納税者の理由附記の不備の主張は排斥されている)。すなわち下記のように、最判の青色申告に関する理由附記の判断を強調して、いることは留意されるべきであろう。一般的な処分とは異なり、法があえて、青色申告において特別に理由附記を規定している以上(残存させている)、その程度は、一般的な理由附記とは異なる程度が設けられているものと理解すべきであり、異なる具体的な記述が必要となるものと解すべきであると理解すべきであろう。しかしながらより具体的なより信憑性がある(青色申告の帳簿記載事項より)というものをどのように理解するべきであるのかという点は、必ずしも明確ではない。この点をより具体化していく必要があろう。

「最高裁法人税法130条2項が青色申告書に係る法人税の課税標準又は
欠損金等の更正をする場合に更正通知書に更正の理由を付記すべきものと
しているのは、同法が、青色申告制度を採用し、青色申告書に係る金額の
計算については、それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくもので
ある以上、その帳簿書類の記載を無視して更正されることがないことを納
税者に保障した趣旨に鑑み、更正をする処分行政庁の判断の慎重さや合理
性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせ
て不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものと解され、したがって、帳簿
書類の記載自体を否認して更正をする場合において更正通知書に付記すべ
き理由としては、単に更正にかかる勘定科目とその金額を示すだけではな
く、そのような更正をした根拠を帳簿記載以上に信ぴょう性のある資料を
適示することによって具体的に明示することを要すると解すのが相当であ
る〔最高裁昭和56年(行ツ)第36号同60年4月23日第三小法廷判
決・民集39巻3号850頁参照〕。」

以上、毎度のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

2020年3月9日月曜日

判例裁決紹介(平成30年5月14日裁決、第三者による仮装行為と重加算税の賦課)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は平成30年5月14日裁決で第三者による仮装行為と重加算税の賦課対象となるのか否かが争われた事例です。

具体的には、歯科医院を営む請求人(個人)が事業所得の申告をなしたところ、調査によりその必要経費とした外注費に架空経費の計上(過大計上)が行われていたことを指摘され、重加算税の賦課決定処分を受けたことにより、かかる架空経費の計上という仮装行為は、経理を委任していた第三者(税理士資格を有していない)が行ったもの(領収書の仮装などをそもそも行うこと自体が問題であることは言うまでもないが)であり、その責任を追うことは妥当ではないとして、提起したものである。委任契約における責任を委託者が負うのか租税法規の問題というよりは民事法の問題とも考えられるが、本件においては、重加算税の賦課決定の要件を充足するものであるのかという点が争点となっており、第三者の行為が納税者本人の行為と同視できるのか、どの程度の行為であれば納税者行為として重加算税の対象となるのかという点が中心的な課題となっているものである。

判断としては、請求人の主張を廃して、納税者の行為と同視されるものと評価して重加算税の賦課を認めている。第三者への委託、今回は専門的な業務、会計書類の作成に関する業務の委託であり、この点で、税理士ではない人への委任(納税者はこの点を知り得なかったという点から責任を否定している)の場合における重加算税の賦課において、納税者の責任をより強固に判断したものと捉えられよう。

(重加算税)
第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

以上のように、本件は、重加算税の賦課決定における請求人以外の行為の責任を対象と捉えられるのかという点が問題とされているものである。従前と同様、本件でもその重加算税の性格から、刑事罰ではないとのことも鑑みて、適正な申告を確保する趣旨から、納税者以外の行為であっても同視できるのかという点から評価を行い、対象範囲を拡大している。この点は従来の判断と同様であり、特段法令解釈としては特徴的なものではないものと考えられる。しかしながら、委任契約において委託者としては、契約した先の行為を確認する義務を負うべきものであろうか、特に本件のような専門的業務において発生する委任において、必ずしもこの責任を全うすることが可能であるだろうか、この点の責任の所在をもって、納税者の行為と同視することができるとの評価が妥当であるのかという疑問は、発生し得よう。ましてや一定の説明を受けているとはいえ、納税者の本人の責任を当形で、虚偽の申告を見つける可能性を要求することが現実の納税者の専門的な知見に対する評価から妥当であるだろうか。

「通則法第68条第1項に規定する重加算税の制度は、過少申告加算税よりも重い行政上の制裁を課することによって、悪質な納税義務違反の発生を防止し、もって申告納税制度による適正な徴税の実現を確保しようとするものである。同項は、隠ぺい又は仮装の行為の主体を「納税者」としているが、形式的に隠ぺい又は仮装の行為の主体が納税者自身の行為でないというだけで重加算税の賦課が許されないとすると、上記の重加算税の趣旨及び目的を没却することとなるから、納税者自らの行為でなければならないと厳格に解するのは相当ではなく、納税者以外の第三者がした隠ぺい又は仮装の行為について、納税者の行為と同視すべき事情が認められる場合においては、通則法第68条第1項に規定する「納税者」の隠ぺい又は仮装の行為に当たるものと解するのが相当である。」

納税者は、下記のように、最判を引用し同視する状況を、以下のような要件に限定するとの解釈を主張している。

「①本件代表者が隠ぺい又は仮装の行為をすること若しくはしたことを請求人が認識し、又は容易に認識し得たこと、②法定申告期限までにその是正や過少申告の防止に係る措置を講ずることができたにもかかわらず、請求人がこれを防止せずに隠ぺい又は仮装の行為が行われ、それに基づいて過少申告がされることの各要件を満たした場合
に限り、本件代表者の行為を請求人の行為と同視し得る(最高裁判所平成18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1661頁参照)」

これは代表的な納税者以外の責任を認めることとされた判決であるが、この判断に従えば、第三者による行為に必ずしも責任が同視されうるものではないものとも考えられる。
しかしながら本件は、下記のように、確定申告、申告納税制度における税理士の責任やその職業的な性格を基礎として、上記の事案とは異なるものと評価して、上記判断の枠組みを否定している。これにより、第三者への委任という状況における一般的な問題と捉えるのではなく、申告納税制度の基礎的な書類作成の状況における納税者の委任と第三者の仮想取引の行為を行った点を中心に捉えた形での判断を行っているものであり、本件は個別の事例として(あるいは税理士の責任を逆に裏付けるものとして)、評価されるべきであろう。申告における委任契約の行為に対する特別な注意義務を有している(そもそも納税者にこのような責任を追わせることは過度な責任とも考えられるが、申告納税制度という原則からはやむを得ないものとも言えよう)と事実上、課税庁の判断としては行っているものと捉えられよう。すなわち第三者として会計業務に関するサービスの提供に関しては、納税者の行為とほぼ同視される可能性が高いと考えるべき。税理士への委任を除き、いわば申告納税制度における納税者としての責任を事実上拡張的に理解しているものと評価されるべきである。ネットを活用した役務提供が増加している現況においては、会計業務に関する役務提供は多様化しつつあるものの(その意味で個々の責任は問われるべきであろうが)、納税者としてはこのような責任の所在を認識しておくべきであろう。

「税理士資格を有しない者に記帳代行業務(申告資料となる帳簿書類の作成)を委任した場合と、適正な納税申告の実現について公共的使命を負う税
理士に当該業務を委任した揚合とでは、納税者が自らの申告内容等について負うべき注意義務の内容及び程度にも自ずと差があるというべき」

以上です。毎度のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

2020年2月17日月曜日

判例裁決紹介【平成30年3月8日裁決、青色事業専従者の行為と重加算税)

さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は平成30年3月8日裁決で、青色専従事業者の行為が納税者の行為と同視され、重加算税の対象となりえるのかという点が争点となった事例です。

具体的には、本件は、焼肉店を飲食店として営む請求人(個人事業主)に対して、調査があり、青色事業専従者(妻及び長男)が売上伝票の破棄等を行い所得金額を隠蔽等していたとして重加算税の賦課決定処分を受けたことに対して、当該行為は委ねていた専従者が勝手に行ったものであるとして、指示したものではないとして納税者の行為と同視して重加算税の賦課に対して不服を申し出た事例である。通常、青色事業専従者における実施者が納税主体と同視できるのかという点は、従業員等を対象にして、その範囲が問題となるケースが多いが、本件は、青色事業専従者がその対象となっている。実際には青色事業専従者は納税者の親族であり、圧倒的に、このような納税事実に関する仮想隠蔽行為を行う主体として取り上げられることが実務上多いものと考えられるが、裁決段階の判断としては、特徴的であろう(ほとんどこのような理由で不服が申し立てられることがないとも祖考えられるが)。このような場合において、どのような判断枠組みにおいて、納税者の行為と同視されるのかという点が採用されるのか、興味深い事例であろう。雇用者などとは異なり、配偶者等の親族はその行為を納税者と同列に扱うことにさほど抵抗がないものと通常は想定されるものであるが(あるいはそのように考えることが一般社会の通年によるものであろうが)、重加算税は制裁的な要因が強いものであるものの、刑事罰ではないので、納税者本人以外の行為もその対象となることは解釈上明らかであるが、如何に適用されるのかという点は重要な判断要素であって、本件もかかる点から参考となる事例であるだろう。納税者が知っていたか否かという点は従前同様問題とされていない。


重加算税)
第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

以上のように本件は重加算税の賦課決定処分における仮想隠蔽行為を納税者本人ではなく、青色事業専従者が行った場合には対象となりうるのかという点が課題となっている。以下のように本件の判断は、趣旨目的から刑事罰との相違を指摘して、趣旨目的からその対象範囲を納税者以外にも拡張的に解釈している。重加算税のの負担が他の附帯税に比して重いことは明らかであり、このような判断を行うことは事実上の制裁として、機能している重加算税の性格からは過度に賦課を課すものであるとして指摘する見解もあり得ようが(納税者本人が知らなかった、任せていたなどのように主張して)納税者の責任を限定されるような判断を導くことも可能であろうが、現行法の解釈としては対象を納税者本人に限定されるものではないことは改めて認識されるべきであろう。ここの事実関係によっては、納税者の責めに帰すものであるのかという点が否定される事例は存在するものと理論的には考えられるが、現実的には制限があるものであるだろう。

「通則法第68条第1項は、過少申告をした納税者が、その国税の課税標
準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又
は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出し
ていたときは、その納税者に対して、重加算税を課する旨規定していると
ころ、この重加算税の制度は、納税者が過少申告をするについて、隠蔽、
仮装という不正手段を用いていた場合に、過少申告加算税よりも重い負担
を課することによって、悪質な納税義務違反の発生を防止し、もって申告
納税制度による適正な徴税の実現を確保しようとする行政上の措置
であ
り、納税義務者本人の刑事責任を追及するものではないことからすれば、
その合理的解釈としては、隠蔽、仮装の行為者が納税義務者本人ではな
く、その代理人、補助者等の立場にある者で、いわば納税義務者本人の身
代わりとして同人の課税標準の発生原因たる事実に関与し、同課税標準の
計算に変動を生じさせた者である場合を含む
ものであり、かつ、納税義務
者が納税申告書を提出するに当たり、その隠蔽、仮装行為を知っていたか
否かに左右されないものと解すべきである」

本件判断も、上記のように対象範囲に関して従前の判断と整合的であるが、重加算税の性格からおもすぎるとの意見もありえよう。実質的には納税者の責任を回避するすべはないものと判断されるものであろうか。本件からは離れるが、実質的に納税者行為として、あるいは責任がないようなケースもあり得ることは否定できない。最終的に本件では、申告納税において、仮想隠蔽による利益を享受していることを判断要素の一つとして、納税者の行為と同視しうるものとの判断を導いているが、如何に親族にとはいえ、このような判断は、些か乱雑だという指摘もあり得よう。


以上です。毎度のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いですが参考までに。

2020年2月1日土曜日

判例裁決紹介(平成30年4月4日裁決、国外居住者への不動産の販売と厳選帳徴収義務)

各位

濱田です。
今週は、ちょっと落ち着きつつ、書き物をしています。世間は新型肺炎の話題も
あるようですが自動的に人込みを避けているような日々です。明日は一般向けの
生涯学習講座で相続税に関してしゃべるので、少し緊張しているのですが、一般
の人は相続に関心があるのだろうか・・・。税理士と弁護士の相続における一般
的なかかわり方のようなものを性質の相違から話してみるつもりです。まあ、忍
耐と寛容を持って耐えてもらおう。


さて、また興が乗ったので判例裁決紹介を作成しました。今回は平成30年4月
4日裁決で、非居住者としての判断が問題になったものです。

具体的には、不動産取引の対価の支払先が非居住者であったとして請求人が土地
取引に関する代金支払いを行った取引において(支払先はオーストラリアに居住、
売買にかかる領収書の一部には国内の住所を記載するなどの行為を行っているが、
基本的に本件において実際に国外に居住していることについて争いはない)、す
なわち非居住者に対して支払った国内不動産の譲渡対価に該当するとして、もっ
て源泉徴収義務があったとして、納税告知処分の対象となったことを不服として
提起された事例である。源泉徴収は、国内における給与所得等の一部所得(配当、
報酬など)を対象とした事例が中心として当該義務が発生しているのか否か(取
引、所得の発生等)が課題となるケースが多いが、本件のように、国際的な取引
においても課税を確実に実行するため、徴収を担保するためにも重要な手法とな
っており、国内取引と国際取引では若干判断の枠組みが異なる可能性もある。本
件は、このような国際取引における取引、支払いにおける源泉徴収義務が対象と
なった事例であり、特に近年、この種の取引(取引の当事者が国外に居住してい
るような取引)が課題となる事例が増加している(判例も)。その原因は国外へ
の移住等国外への居住がまれなものとして評価される時代から、選択肢の一つと
して成立するような社会的な背景が存在しているものと考えられる。従前と比し
て国外居住の判定が行われることが増加していることと認識されるべきであろう。

本件ではオーストラリアがその居住地となっているが、この国は相続税がない国
として移住先として著名になりつつあるものであるが、一見して国内に居住して
いるのかという点から対応することは的確ではなく、また、国外に居住している
者や国外との取引を頻繁に行っているような業種ではない、不動産業、特に不動
産業は基本的に属地的なものであり、多くの場合において国内での取引を前提と
しているように捉えられるが、このような業種であっても国外に居住している取
引の当事者を対象としうるような状況になりつつあるのが現代の社会情勢なので
あろう。本件は国内不動産の取引が課題となっているが、逆に国外に不動産を取
引対象とするような事例も増加しており、不動産取引においても国外との取引、
国際的な取引への配慮が源泉徴収義務に限らず必要となりつつあるのではないだ
ろうか。

本件もこのような文脈におけるものとしてとらえられるべきものであり、今後の
参考として留意されるべきであろう。以前取り上げた判例事例においても近年は
このような契約の相手方が非居住者であることを判定することが困難であった
(一見日本国籍を有している)事例もあり、通常の非居住者としての該当性や対
象となる取引が成立しているのかという判断の枠組みよりも取引の当事者とある
納税者においても合理的に相手が非居住者であることを判断しえたか否かという
事前段階の状況をいかに源泉徴収義務に反映させることができるのか否か、源泉
徴収義務の中核的な性格からの対比、検討が、問題の俎上にあがってきているよ
うにも考えらえる。

(源泉徴収義務)
第二百十二条 非居住者に対し国内において第百六十一条第一項第四号から第十
六号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得(政令で定めるものを除く。)
の支払をする者又は外国法人に対し国内において同項第四号から第十一号まで若
しくは第十三号から第十六号までに掲げる国内源泉所得(第百八十条第一項(恒
久的施設を有する外国法人の受ける国内源泉所得に係る課税の特例)又は第百八
十条の二第一項若しくは第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)の規定に
該当するもの及び政令で定めるものを除く。)の支払をする者は、その支払の際、
これらの国内源泉所得について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月
十日までに、これを国に納付しなければならない

(国内源泉所得)
第百六十一条 この編において「国内源泉所得」とは、次に掲げるものをいう。
五 国内にある土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若
しくは構築物の譲渡による対価(政令で定めるものを除く

以上のように、本件は、源泉徴収義務の成立自身を問うものというよりは、主と
して請求人が合理的な配慮の下で国外居住者であることを認識しえたかどうかが
課題となっている。本来ならばこのような回避しえない合理的な予測が困難な状
況を加味してもなお、源泉徴収義務を有しているのかどうかという点は、源泉徴
収義務の法的な性格から判断されるべきものであるが、法は宥恕規定を置いてお
らず、現行法の解釈上かかるような状況を加味すべきかどうかは定かではなく、
立法によるべき救済の議論であるのかもしれない(憲法上の過度な義務であるの
かという点などは憲法論として争いになるのかもしれないが)。このような点か
らは本件は争点がずれているようにも考えられるが、国内における不動産取引に
おいてこのような相手方の判断が困難であることは現代の社会的な環境の変化が
認められよう。

本件の事実関係では、非居住者が領収書などの書類に国内の住所を記載していた
ことと覚書などには、国外の居住を示す国外の住所を記載しているなど、いささ
か予測が困難な状況をいかに評価するのかという点が起点となっている。判断と
しては最終的に覚書のような中心的な書類において国外の住所を記載しているこ
とを重く評価して、一般的に高額な取引となる不動産取引において一般にこのよ
うな相手方の居住の有無も確認されるべきとして、納税者の責任を判断している。
中心となるべき相手側に非居住者としての判断が困難であるのかという点は判断
が行われておらず、法令上はこのような問題に対して合理的な配慮が尽くされて
いるのかどうか、というような点は、争点としては現実的には困難となっている
とも考えられる。

以上です。毎度のごとく備忘録として作成しているものですので完成度は低いで
すが参考までに。